潮智史(うしお・さとし) 朝日新聞編集委員
朝日新聞編集委員。1964年生まれ。87年入社。宇都宮支局、運動部、社会部、ヨーロッパ総局(ロンドン駐在)などを経て現職。サッカーを中心にテニス、ゴルフ、体操などを取材。サッカーW杯は米国、フランス、日韓、ドイツ、南アフリカ、ブラジルと6大会続けて現地取材。五輪は00年シドニー、08年北京、12年ロンドンを担当。著書に『指揮官 岡田武史』『日本代表監督論』。
※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです
W杯に連れていく23人の日本代表選手を発表したザッケローニ監督による記者会見は1時間に及んだ。
落ち着いた口調で理路整然と答えていく会見は、悪くいえば、地味で堅実でおもしろみに欠けていたかもしれない。まさに、イタリア人監督のまじめな人柄が映し出されていた印象だった。大久保を最後の最後に加えるという小さな驚きはあったものの、攻め勝つサッカーを貫くという考えを静かだが力強く宣言した。
「最終的に決断したのはいつか」という質問に対して、ザッケローニ監督は「かなり前の段階で頭の中で固まっていた」と答えた。23人の名前を追っていくと、11月にオランダ、ベルギーと対戦した欧州遠征のメンバーに行き着く。
当時のメンバーと違っているのは、MF細貝、高橋を外して、MF青山、FW大久保を加えた点。欧州の強豪と互角に渡り合えた内容から、ザッケローニ監督自身も、強い相手に合わせたサッカーをするのではなく、このメンバーでパスサッカーという日本の持ち味を前面に押し出したスタイルでやれる、という手応えをつかんだということなのだろう。
23人のポジション別の内訳は、GK3、DF8、MF4、FW8。もちろん、複数のポジションをこなす選手も複数いるし、試合中の配置転換もあるわけで、この数字は基本となるポジションを表すにすぎないが、ここにもザッケローニ監督の志向が見て取れる。
GKの3人は定石通りとして、DFとMFは各位置に2人ずつを確保するにとどめた。DFの内田と吉田、さらにMFの長谷部はけが明けで本大会までの1カ月の間にコンディションを取り戻す不確定要素を抱えている。医療スタッフとの綿密な情報交換が前提とはいえ、代わりの選手をひとりずつおくだけで、「もし」に備えて保険をかけておくようなことはしなかった。
最終的な結論として主導権を握って攻めに出ると決めたことで、FWに8人を割いた。会見でザッケローニ監督は「ボランチ(MF)をもうひとり増やすかどうか、迷った」と話したが、4人にとどめたことを認めている。
その分、FWの選択肢や組み合わせは
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