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東方神起はヨコに進化する――ライブツアー2014『TREE』レビュー

澁谷知美 東京経済大准教授(社会学)

 ローマ法王の法衣を思わせる白いローブに身をつつんだ東方神起の2人がまっすぐ正面を見据えたとき、ステージは聖壇になった。バックにはオレンジ色に輝く木。それはよく見ると無数の小さなドットで構成されており、おのおののタイミングで輝き、光を放っている。ドットはあたかも人びとの命の輝き一つひとつのように見え、その前に立つ白い衣装の彼らは、生命をことほぐ神の意思を伝える司祭のようだった。

 6月22日にエンディングをむかえ、29公演で60万人を動員した東方神起のライブツアー『TREE』での一場面である。楽曲は「Tree of Life」。タイトルに今回のツアー名を含むこの曲は、人の成長を樹木のそれにたとえ、慈しみあう人と人のありようをたたえる壮大な生命賛歌であり、人類愛に満ちている。恋愛を歌うアイドルはあまたいても、人類愛を歌うアイドルはそうそういない。そして、東方神起ほどの説得力を持たせられる人びとも、そう多くはない。

 「神」そのものではなく、神と人とを仲介する「司祭」になろうとする彼らの姿勢を ・・・ログインして読む
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筆者

澁谷知美

澁谷知美(しぶや・ともみ) 東京経済大准教授(社会学)

東京経済大准教授。1972年大阪市生まれの千葉県育ち。東大大学院教育学研究科博士課程修了。専門は社会学および教育社会学、主な研究テーマは男性のセクシュアリティの社会史。単著に『日本の童貞』『平成オトコ塾 悩める男子のための全6章』『立身出世と下半身 男子学生の性的身体の管理の歴史』、共著に『性的なことば』などがある。【2015年6月WEBRONZA退任】

 

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