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「白足袋には逆らうな」――京の町を牛耳る影の権力者たち(下)

西岡研介 フリーランスライター

 〈京都市、捜査情報漏らす 組関係者か照会→結果、本人に 「目的外」府警は反発〉

 「読売新聞」夕刊の第2社会面トップに、こんな見出しのスクープが掲載されたのは7月25日のことだった。少々長くなるが、引用させていただく。

 〈京都市が、ある人物について暴力団関係者かどうかを京都府警に照会し、「該当しない」との情報を5月、この人物本人に伝えていたことがわかった。市は暴力団排除が目的の場合は府警に照会できるが、府警は「伝達は認められない」と反発している。

 市などによると、府内在住の男性(62)についての情報。男性は、市が4月に市立中学校跡地の定期借地契約を結んだ公益財団法人(京都市)の関係者で、契約当時は、同法人の代理人として、市との交渉などを担当していた。

 契約に先立ち、市は2012年12月、跡地利用に手を挙げた同法人(当時は財団法人)に、暴力団関係者との契約を禁じる市暴力団排除条例に基づき、該当者がいないことを誓約する書面を提出させた。ところが、今年5月発売の週刊誌が男性について「暴力団関連企業と不動産取引を行った過去を持つ」「『密接関係者』と見なしうるのではないか」などと、契約締結を疑問視する内容の記事を掲載した。

 市は、公共事業などの契約者が暴力団関係者か否かについて、契約解除など暴力団排除を目的に照会できる協定を府警との間で12年に交わしており、市教委が契約後の今年5月15日、男性について府警に照会。翌16日、府警から「該当しない」との回答を得た。

 ところが同日、市教委は照会結果を男性に口頭で伝達。男性はその3日後、市の個人情報保護条例に基づいて照会結果を書面で出すよう開示請求し、市教委は6月13日に開示した。

 府警によると、開示請求については市側から相談があり、「暴力団情報は該当、非該当にかかわらず捜査情報。開示は、暴力団排除の目的に当たらず、協定にも反しており、認められない」と答えたという(以下略)〉

 記事では、個人や団体などが匿名になっているため、少々わかりにくいと思うので解説しよう。

 この〈男性〉とは、拙稿の(上)で登場する元「裏千家家元の秘書」だ。また〈公益財団法人(京都市)〉とは、これも(上)に出てくる「日本漢字能力検定協会(漢検)」のことである。〈今年5月発売の週刊誌〉とは5月14日に発売された「週刊新潮」5月22日号のこと。そして〈「暴力団関連企業と不動産取引を行った過去を持つ」「『密接関係者』と見なしうるのではないか」などと、契約締結を疑問視する内容の記事〉を書いたのは、私だ。

 京都市と漢検は4月、廃校となった市立弥栄中学校の跡地を、漢検に「60年間・年額7835万円」で貸しつける定期借地権設定契約を締結。漢検はこの地に延べ床面積7050平方メートルにも及ぶ3階建ての「漢字博物館」を建設する予定で、校舎の解体も既に始まっているのだが、この契約時に、漢検の〈代理人〉として市との交渉に当たっていたのが、前述の元「裏千家 ・・・ログインして読む
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筆者

西岡研介

西岡研介(にしおか・けんすけ) フリーランスライター

【2015年3月退任】フリーランスライター。1967年、大阪市生まれ。91年に神戸新聞社入社、阪神淡路大震災や神戸連続児童殺傷事件などを取材。98年以降、『噂の眞相』編集部、「週刊文春」記者、「週刊現代」記者を経て、現在はフリーランス。著書『マングローブ――テロリストに乗っとられたJR東日本の真実』で08年、講談社ノンフィクション賞を受賞。

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