2014年08月29日
私が同行した厚生労働省派遣の遺骨収集帰還団は10人。抑留経験者、父親を抑留で亡くした人、ボランティアの大学生らが参加していました。現地のロシア人も作業員として10人ほどパワーショベルを運転したり、穴を掘ったりして協力してくれました。
帰還団が作業をするのは、埋葬地だったという記録や証言があるところです。大体の検討をつけて場所を決め、パワーショベルをつかって幅1メートル、深さ1・5メートルほどの穴を10メートル近く掘り進めます。ロシア人の作業員が穴の中に入り、スコップを手に、骨の破片がないかと注意を払い続けます。骨らしいものがあると、手作業でその周辺を掘り、遺骨があるのかどうかを確かめます。木の根や枝が大腿骨に見えることもあれば、動物の骨が出てきたこともあります。ロシアといえども、気温は30度を超えています。じりじりと待ちながら、目をこらす時間が続きました。
「見つからないと元気が出ないよなあ」と声を上げたのは、抑留経験者の遠藤尚次さん(88)です。22年、毎年ロシアに足を運び、仲間を捜し続けている人です。遠藤さんのことは朝日新聞で書いていますので、興味のある方は読んでみてください。
そうした地道な作業を続け、遺骨が見つからなければ、これまで掘ってきた穴の横に1メートルほどの間隔をあけて、また同じように深さ1・5メートルほどの穴を掘っていくのです。
30分もすると、丸みを帯びた頭蓋骨の一部が土の中から見えてきました。
熊手で土を払い、骨を出していきます。栄養を吸い取っているのでしょうか。頭蓋骨には細かな木の根が絡まっていました。頭蓋骨のすぐ近くには、胸の上で腕を組んでいた形で腕の骨も見えてきました。戦後69年たって、やっと見つけてもらった日本人の遺骨です。
ふと目を上げると、黒い蝶が
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