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ニュースや株式市況を合成音声で放送

身近になってきた音声検索ソフト、広がる活用分野

川本裕司 朝日新聞記者

 ロボットの「ペッパー」や人間そっくりのアンドロイドがしゃべっているのは合成音声だ。アナウンサーが伝えてきたラジオのニュースや株式市況で、合成音声によって人間に似た声での放送が現実となっている。音声を認識したり合成したりする技術の進歩は、放送での活用だけでなくインターネット画像の字幕つけにも広がろうとしている。

 神奈川県逗子市や葉山町などを対象とするコミュニティーFM局・湘南ビーチFM(逗子市)は、DJやパーソナリティーが読んでいた1日約10回のニュースを、2014年1月から合成音声に切り替えた。デジタルデータの原稿をパソコンに入力すると、人間の男性の声で読み上げる音声合成エンジンを導入した。

 新技術導入のPRもこめ、「いまのニュースは音声合成でお届けしました」と毎回伝えている。音楽を流す間にしていたニュースの下読みをDJらはしなくてすむようになった。

 同局代表取締役のジャーナリスト木村太郎さんは「将来を見すえ、導入を決断した」と話す。聴取者からは「新しい試みを支持する」という意見と「自然豊かな地域で人工の音声にしなくても」という批判の両方があるという。

合成音声のソフトを立ち上げたパソコンの画面。音の高低が画面下部の●で示されている=年、東京都文京区のエーアイ合成音声のソフトを立ち上げたパソコンの画面。音の高低が画面下部の●で示されている=年、東京都文京区のエーアイ
 このエンジンを開発したのは、音声合成システムを手がけるエーアイ(東京都文京区)。13年6月に発売したパッケージソフトでは男女の大人や子ども15種類の話者をそろえたほか、実在の人物の声を録音してオリジナルの音声も作成できる。合成音声といえば宇宙人を思わせる違和感があったが、音声データベースの蓄積によってアクセントを習得し、最近では人間の声の録音と変わらない水準に達している、という。

 NHKでは2010年3月末からラジオ第2放送の「株式市況」で合成音声の放送を始めている。1分間に20銘柄近くの終値

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