経済学者やユダヤ人の女性精神科医も犠牲になった新聞社襲撃事件
2015年02月16日
12人の被害者の内の1人はユダヤ人の精神科医/精神分析家の女性エルザ・カイアットで、シャルリー・エブドの隔週のコラム「Divan(寝椅子)」を担当していた。イスラムでは女性は殺されないのに、エルザはただ1人の女性被害者として、狙い撃ちされていた。ユダヤ人だったからである。さらには、ユダヤ人が創始した、精神分析を行う人だったからだろうか。また、他の被害者の1人、ベルナール・マリは、やはり精神分析研究に取り組み、著書『資本主義と死の欲動』で知られる、トゥールーズの経済学の教授だった。
精神分析は、フロイトの「機知」の研究で知られるように、お笑いのように、通常の語りから逸脱し、無意識を表象する表現から、心の問題に入っていく。この意味で、シャルリ―・エブドが表現した、アイロニーや笑いという表現の自由は、精神分析にとってある意味、決定的に重要だった。また、今フランスのラカン派(精神分析)の中核である68年世代にとって、シャルリ―の留まるところを知らない精神も、共有されるエスプリだっただろう。精神分析は、こうして、現在の社会の中で、今も存在論と精神の追究にラディカルに関わり、ネオリベラリズム社会からは排除されかかろうとしており、この意味でシャルリ―とは強い関わりを持っていた。もちろん、精神分析は、守られた空間の中での言葉の吐き出しであり、その違いは大きいのだが。
漫画家の1人、ウォリンスキは、シャルリーの誌名を、1950年から連載が開始された『ピーナッツ』の主人公、スヌーピーの飼い主であるチャーリー・ブラウンから取った。チャーリーは、何をやっても不器用で特技がない、いじめられキャラで
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