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小保方氏擁護論への反発と理研の甘さ(上)

理研はトカゲのしっぽ切りをしたのか、研究者の良識が問われたのか

杉浦由美子 ノンフィクションライター

STAP細胞について説明する理化学研究所の小保方晴子ユニットリーダー(当時)と若山照彦山梨大教授=2014年1月28日、神戸市中央区拡大STAP細胞について説明する理化学研究所の小保方晴子ユニットリーダー(当時)と若山照彦山梨大教授=2014年1月28日、神戸市中央区
 2015年2月10日に理化学研究所は、一連のSTAP細胞の論文不正問題に関して、小保方晴子氏を「懲戒退職相当」と発表した。これに対しては「すでに退職しているので、今から懲戒退職にしても意味がない」と、処分の甘さが指摘されている。

 このような批判が集まる中、一方で、「理研が小保方氏に責任を押し付けている」という小保方氏への同情論はまだ消えていない。

 2015年1月8日配信の東スポWEBの『「不正確定」小保方氏タレント転身か』という記事ではテレビ局が小保方氏に出演オファーをしていると報じる。不正が確定した彼女を出演させるとなると、コンプライアンスの問題がでてくるが、キー局の編成マンはこうコメントしていた。

 「本人が悪意を持ってやったことでもないし、今のところは違法行為でもないですし、見逃した理研全体の問題ですからね。男性視聴者のリケジョ需要にも応えられるし、不思議ちゃんキャラを前面に出してもいい。視聴者からは賛否両論出るでしょうけど、話題性は十分ありますからね」

 また、「懲戒退職相当」が発表された後も、文化人がSNSで「祭り上げておいて、失敗したから、責任を小保方氏ひとりに押し付ける理研には違和感を抱く」という主旨を投稿している。

 この「論文不正を見逃した理研が悪い」「祭り上げておいて、見放す理研はひどい」という意見は、不正発覚後の理研が調査発表後からあったものだ。

 このSTAP細胞問題をわかりにくくしているのは、なにが問題であり、どこに責任が問われるべきかということが説明されてないからだ。

 本稿では、理研に責任があると思われる点と、責任がない点について言及していきたい。

 2014年4月小保方氏がシティホテルで自費の華やかな釈明会見を行った直後に、私はある席で研究者たちと一緒になった。研究者たちは「どうして小保方氏を擁護するような報道がされているのか」と憤っていた。

 私が「理研が彼女にすべての責任を押しつけて、トカゲのしっぽ切りをしているように見えるからですよ」と答えた。

 すると、中堅研究者がこう説明してくれた。

 「組織は研究論文の内容をチェックできないのです。研究の自由を守るためにです。論文は

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筆者

杉浦由美子

杉浦由美子(すぎうら・ゆみこ) ノンフィクションライター

1970年生まれ。日本大学農獣医学部(現・生物資源科学部)卒業後、会社員や派遣社員などを経て、メタローグ社主催の「書評道場」に投稿していた文章が編集者の目にとまり、2005年から執筆活動を開始。『AERA』『婦人公論』『VOICE』『文藝春秋』などの総合誌でルポルタージュ記事を書き、『腐女子化する世界』『女子校力』『ママの世界はいつも戦争』など単著は現在12冊。

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