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小保方氏擁護論への反発と理研の甘さ(下)

あいまいだった小保方氏採用の理研の基準と処分の遅れ

杉浦由美子 ノンフィクションライター

理化学研究所調査委員会の報告書で、記者会見に臨む理研の川合真紀理事(右)と有信睦弘理事=26日午後0時10分、東京都千代田区拡大理化学研究所調査委員会の報告書で、記者会見に臨む理研の川合真紀理事(右)と有信睦弘理事=2014年12月26日午後0時10分、東京都千代田区
 一連のSTAP細胞不正問題において、理化学研究所は”論文不正にはまったく関係がない”ということは前半で論じた。

 だが、理研が小保方氏を採用した基準の曖昧さや処分の遅れや甘さには、疑問をもつ人が多く、結果的に「乱倫な研究室」というタイトルの記事がでたり、「小保方氏に内部事情を暴露されたくないから取引をしている」といった報道もでてくる。理屈が通らない部分を、ちゃんと説明をしないからみな勘ぐるのだ。

 そして、この小保方氏への厚遇の理屈の通らなさは、国がいう「女性活用推進」の妨げになるということを後半ではみていきたい。

 2013年に『女子校力』(PHP新書)を出し、取材の過程で、男子校と女子校の違いを知った。男子は力関係で動く。だから、男子校では力のある教師が『静かにしろ』と怒鳴れば生徒は黙る。だが、女子校の場合は、どんなに尊敬されている先生だろうと、理由や目的を伝えないと生徒は言うことを聞かない。『今から大事な話をするから静かにしなさい』と説明しないと黙らない。

 社会人になっても同じだ。いわゆる体育会系の職場で女性が続かないのは、そういう所は上下関係で動くからだ。上司の命令だろうと「理屈が通ってない」「目的が分からない」ことには、服従できないのが、女性の特性だとされる。学校教諭は激務だが、定年まで勤め上げる女性が多いのは、上下関係だけで動く仕事ではないからだろう。生徒が問題を起こせば、若い担任教師と教頭が比較的対等な立場で「どうしましょう」と話し合う。そういう”非体育会系”の職場だと女子は伸びやすい。

 さて、激務なのに、女性が活躍著しい職業としてアイドルがある。人気グループ・AKB48では、誰がセンターで踊って歌うかは、ファンの投票による総選挙で決まる。これは女性の特性を考慮したものだ。評価基準が明確だと女性は頑張ることができる。もし、スタッフサイドが一方的に「次は誰がセンターです。こちらが決めたんだから従って」と言えば、他のメンバーが納得しないだろう。「あの子は男性スタッフに媚びるのがうまいから、センターになれたのかも」と邪推しだすと、女性はどんどんモチベーションが落ちていく。そうならないようにAKB48は総選挙という公平な制度を導入しているのだ。結果、AKB48は日本を代表する人気グループに成長し、メンバーになりたい志願者は増えている。

 一方、現在、理系の基礎研究分野では人材不足・

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筆者

杉浦由美子

杉浦由美子(すぎうら・ゆみこ) ノンフィクションライター

1970年生まれ。日本大学農獣医学部(現・生物資源科学部)卒業後、会社員や派遣社員などを経て、メタローグ社主催の「書評道場」に投稿していた文章が編集者の目にとまり、2005年から執筆活動を開始。『AERA』『婦人公論』『VOICE』『文藝春秋』などの総合誌でルポルタージュ記事を書き、『腐女子化する世界』『女子校力』『ママの世界はいつも戦争』など単著は現在12冊。

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