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ブルトレ・北斗星が消えるわけ

コスト増だけでなくJR北海道の新幹線整備・安全対策の優先も

細沢礼輝 朝日新聞編集委員(運輸・観光担当)

北斗星の廃止が発表されて以来、出発のたびに多くの鉄道ファンが集まるようになった=2015年2月6日、JR上野駅拡大北斗星の廃止が発表されて以来、出発のたびに多くの鉄道ファンが集まるようになった=2015年2月6日、JR上野駅
 東京・上野と札幌を結ぶ寝台特急「北斗星」が、3月14日のダイヤ改定を機に定期運行から外れる。これにより、青い寝台客車を機関車が引っ張る「ブルートレイン」は、臨時を除いて国内からすべて姿を消す。JRが廃止理由に挙げるのは「車体の老朽化」と「北海道新幹線の試験走行とのダイヤ調整難」。だが、新幹線開業に伴うコスト増に加え、レール検査値改ざん問題などJR北海道で不祥事が相次いだことも、「最後のブルトレ」の寿命を縮める一因となったようだ。

 2月上旬の金曜日、JR上野駅。午後7時過ぎの発車時刻を前に、13番ホームに青い車体が滑り込んだ。待ち構えていた鉄道ファンは様々な角度からカメラにおさめようと、ホームを行き来する。「一度は乗りたい」とお小遣いをためてきた小学3年の息子の夢をかなえるため、一家4人で乗車した横浜市金沢区の会社員(46)は「移動そのものを楽しめる列車がなくなるのは残念」と話した。

 北斗星を共同運行するJR北海道とJR東日本によると、定期運行のラストは3月13日の上野発。その後、4月から8月まで週3回ほどのペースで上下各56本を臨時運行する。最終運行は上野発が8月21日、札幌発は同22日となる。

 青い客車ではないが、大阪―札幌間を結ぶJR西日本の寝台特急「トワイライトエクスプレス」も同じ3月のダイヤ改定で廃止される。現在、北斗星と同様に乗車券はほぼ完売の状態が続いているという。

 ブルトレの歴史は1958年、東京―博多間を結ぶ「あさかぜ」に青く塗装された客車が導入されたことに始まるとされる。「動くホテル」ともてはやされ、70年代後半には全国的ブームとなった。

 北斗星は88年、北海道と本州を結ぶ青函トンネル開通にあわせて登場。上野―札幌間約1200キロを16時間かけて結ぶ。個室中心の編成やフルコースディナーを味わえる食堂車など、後の「カシオペア」「ななつ星」につながる豪華寝台列車の先駆けとなった。

 ブルトレは、新幹線網の広がりや航空機利用が進むにつれて利用が低迷。車両の老朽化が目立つようになった2000年代を中心に次々と廃止された。北斗星もデビュー当時の1日3往復から現在は1往復に。しかし、北の大地へ向かう豪華寝台の旅は根強い人気で、乗車率6割を維持。トワイライトは7割を保っているという。

 公表された廃止理由のうち、北海道新幹線は青函トンネルにまつわる問題だ。

 2016年3月に北海道新幹線が開業すると ・・・ログインして読む
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筆者

細沢礼輝

細沢礼輝(ほそざわ・あやてる) 朝日新聞編集委員(運輸・観光担当)

朝日新聞編集委員。1967年静岡県生まれ、92年入社。宇都宮、浦和支局、名古屋・東京社会部、東京経済部で鉄道や通信業界などを担当。東京社会部デスクを経て2014年4月から現職となり、運輸や観光を担当している。

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