パワーに加わった繊細さ
2015年03月26日
4年間の、スタートの年。
スケートカナダで優勝できるほどの地力はつけて、シーズンに臨んできた。4回転ジャンプも「他の3回転と何ら変わらない意識」で跳べるまでに精度を上げてきた。「カルメン」「オペラ座の怪人」と、ふたつのプログラムも、彼らしさを十分生かした作品が見せられている。
先輩二人が引退した後の全日本選手権、チャンピオンだって狙いたいところだ。しかし、上が抜けたと思ったら、もう下から追い上げる選手が出てくる――。
「見ている人は楽しいでしょうけれど、中にいる僕たちは大変ですよ……」
ほんとうに私たちがわくわくと楽しめる分だけ、只中にいる選手たちはきつい。特に彼のいる立ち位置は、今、一番つらいところだ。
残酷なことに、彼は選手たちの中でも一、二を争うほど、スケートに対して慧眼。
宇野昌磨が今シーズン急成長するだろうことも、誰よりも早く気づいていた。まだあの17歳がそれほど大きな話題になっていなかった10月、グランプリシリーズの記者会見のころから、「4回転を跳べるようになった宇野君をはじめ、若い選手たちにも油断はできない」と彼のことを話題にしている。
そんなふうに同じスケーターとして、年下の選手たちにもきちんと敬意を払うのが彼だ。
特に羽生結弦のことは、いつも聞かれずとも積極的に語ってくれる。たぶんスケーターとして純粋に、強い選手が好きなのだろう。
「羽生君のジャンプや演技を見ていると、
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