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来シーズンから羽生結弦は勝ち続ける(下)

フィギュアスケートを進化させるチャンピオンに

青嶋ひろの フリーライター

 ショートプログラムに比べれば、フリーは演技時間が長い分、病み上がりの身体には厳しかったのだろう。繊細さの極地を見せるショートに対し、ファントムの男らしさを演じなければならないフリー。プログラムの性質の違いもあった。

 プログラム序盤で、ふたつの4回転を落としたことも大きい。

 そこで体力が奪われ、呼吸が乱れ、全体の流れを作ることも難しくなる。4分30秒を通して、どうしても力強さの感じられない演技になってしまう。

 それでもひとつひとつの動きをおざなりにせず、ポイントを稼ぐためのエレメンツも、ポイントに直接は繋がらないイナバウアーなども、きっちり見せた。ジャンプも4回転以外、ほぼミスをしなかった。あの身体で、今の彼にできることはすべてをやりきったのだ。

 最後のキャメルスピン。あのポジションを規定回数まわりきるまでキープすることが、今の彼の身体に、どれだけきつかったことか……。

羽生結弦帰国拡大上海での世界選手権から帰国した羽生結弦
 羽生結弦は連覇を逃し、2位に終わった――そう書かれてしまうことは、仕方がない。

 しかし何度でも書くが、オリンピックチャンピオンのプレッシャー、モチベーションのキープの難しさ、そして満身創痍のこの身体で、2位がどれほど凄い結果だったことか。羽生結弦、やはり恐ろしい男だ。

 結果が出てから表彰式までの間――「連覇を逃した」男は、号泣していたという。

 そして涙が乾いたその瞬間から、

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筆者

青嶋ひろの

青嶋ひろの(あおしま・ひろの) フリーライター

静岡県浜松市生まれ。2002年よりフィギュアスケートを取材。日本のトップ選手へのインタビュー集『フィギュアスケート日本女子 ファンブック』『フィギュアスケート日本男子 ファンブック Cutting Edge』を毎年刊行。著書に、『最強男子。 高橋大輔・織田信成・小塚崇彦 バンクーバー五輪フィギュアスケート男子日本代表リポート』(朝日新聞出版)、『浅田真央物語』『羽生結弦物語』(ともに角川つばさ文庫)、『フィギュアスケート男子3 最強日本、若き獅子たちの台頭 宇野昌磨・山本草太・田中刑事・日野龍樹・本田太一」(カドカワ・ミニッツブック、電子書店で配信)など。最新刊は、『百獣繚乱―フィギュアスケート日本男子―ソチからピョンチャンへ』(2015年12月16日発売、KADOKAWA)。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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