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宮原知子、本郷理華、村上佳菜子の「チーム力」

世界選手権「3枠」をキープ、3年後の「礎」は作られた

青嶋ひろの フリーライター

 アフター五輪の世界選手権。女子シングルの宮原知子、本郷理華、そして村上佳菜子――3人の日本代表には、尋常でないプレッシャーがかかっていたことだろう。

 なんといっても、2003年から12年続いてきた日本女子出場枠「3」のキープがかかっている。さらには06年村主章枝の銀メダルから9年続いてきた、メダル連続獲得記録もかかっている。

 ご存知のように14―15年シーズン、安藤美姫、鈴木明子とふたりの世界選手権メダリストが引退し、浅田真央は今季休養中。世界の女子を引っ張ってきたスーパースターたちを一挙に失い、残されたメンバーでこの記録を受け継げ、と人々は言う。

 しかしどちらの記録も、残念ながらここで途絶えてしまうだろう、という声は高かった。

 出場者を今季のシーズンベスト順に並べると、上から3人がロシア選手、その下の3人がアメリカ選手、7番目にやっと宮原、次いで本郷の名前が出てくる。

 ロシア3選手の強さはシーズン前半から際立っていて、もしジュニアも含めて6人出てくれば、トップ6すべてロシア人でもおかしくないほど強力だ。

 ソチのメンバーが3人とも残り、3人揃い踏みで出場するアメリカ勢も手強い。四大陸選手権では、エドモンズ、ゴールドとも、五輪を経験した選手らしい格のある美しさを見せ、「これは負けてもしょうがない……」と感じてしまった。

エキシビションの演技後、会場の声援に応える宮原知子拡大エキシビションを終えて。銀メダルの宮原知子
 番狂わせなく事が運べば、日本選手は7位と8位で、来年の出場枠は14年ぶりに「2」に。もちろんメダル獲得記録も途絶えてしまったはずだ。

 だから、ショートプログラム終了後。彼女たちの出した結果には、唖然とするしかなかった。

 全員ジャンプはミスなしで、宮原3位、村上4位、本郷5位。全員がフリーの最終滑走グループに入り、もうこの時点で、「枠の心配」などほぼなくなってしまったのだ!

 ここまで3人ともが大崩れしなかったショートプログラムも、全員がメダル圏内でフリーを滑ることも、浅田、安藤らがいた「黄金時代」でさえ一度もなかったのではないだろうか(日本選手3人がフリー最終グループに揃ったのは、2012年のニース大会のみ。この時は浅田真央と鈴木明子がショートプログラムでジャンプミスをしている)。

 まさに個人スポーツにおける「チーム力」、そのお手本を見せてもらった気がした。

 最年少、初出場ながら全日本チャンピオンとしてこの場に立ち、重責を感じていただろう宮原知子。

 最年長で、世界選手権連続5回出場。全日本は5位と振るわなかったものの、エースの誇りを失いたくない村上佳菜子。

 シニアデビューの年からいきなり待ったなしに結果を求められ、「先輩について行く」気楽さも味わえない本郷理華。

 「3人で一丸となって3枠を!」

 連盟強化部もコーチ陣も口を揃えて言うその言葉は、今大会女子のスローガンのようだった。

「強い日本女子」の伝統

 そんなかなで、ショートプログラムは全員がノーミス。ほんとうにありえない頑張りを、誰一人後れを取らず、3人ともが見せてくれたのだ。

 この「気持ちの強さ」は、伊達ではない。村主章枝、荒川静香、恩田美栄の時代から、途切れることなく中野友加里、鈴木明子、安藤美姫、浅田真央へ。たすきのように受け継がれたのは、なんといっても「負けん気の強さ」だ。

 男子選手たちが試合本番に弱く、くすぶっていた長い長い時間。いつでも日本女子は、空気が切れるほどのライバル意識をみなぎらせながら、世界の表彰台を席巻していたのだ。

 「男子なんて、試合前でも仲良くしちゃって、甘いのよ」と言い

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筆者

青嶋ひろの

青嶋ひろの(あおしま・ひろの) フリーライター

静岡県浜松市生まれ。2002年よりフィギュアスケートを取材。日本のトップ選手へのインタビュー集『フィギュアスケート日本女子 ファンブック』『フィギュアスケート日本男子 ファンブック Cutting Edge』を毎年刊行。著書に、『最強男子。 高橋大輔・織田信成・小塚崇彦 バンクーバー五輪フィギュアスケート男子日本代表リポート』(朝日新聞出版)、『浅田真央物語』『羽生結弦物語』(ともに角川つばさ文庫)、『フィギュアスケート男子3 最強日本、若き獅子たちの台頭 宇野昌磨・山本草太・田中刑事・日野龍樹・本田太一」(カドカワ・ミニッツブック、電子書店で配信)など。最新刊は、『百獣繚乱―フィギュアスケート日本男子―ソチからピョンチャンへ』(2015年12月16日発売、KADOKAWA)。

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