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どうしたTBS! 最近、おかしいぞ

ころころ代わるスタッフとコメンテーター、生放送が下手、やらせも発覚

水島宏明 ジャーナリスト、上智大学文学部新聞学科教授

 最近、TBSがおかしい。かつて「報道のTBS」「ドラマのTBS」と呼ばれ、「民放の雄」とまで形容された老舗の放送局が番組制作でも迷走を続けている。一言でいえば、よくも悪くもTBSのカラーだった「どっしり感」「本格派志向」というのが影を潜めてしまった印象だ。しかも腰が定まらず、揺れ続けている。

『あさチャン』の齋藤キャスター降板の非礼

 その象徴的な番組が『あさチャン』だ。昨年3月31日にフリーアナウンサーの夏目三久と明治大学教授の齋藤孝がMCとして並ぶスタイルで始まった。ところが、1年経ったこの3月末、2人キャスターの1人だった齋藤孝が「卒業」する形で、メイン番組の2人だったのには外されてしまった。去年は三顧の礼を尽くして平日の番組キャスターの一人として迎えたはずだったし、『あさチャン』のスタート時点では番組スポットで夏目三久と齋藤孝が交互に登場していて2人でMCを回していた。

 それがたった1年での降板だ。しかも視聴者にはくわしい説明はなく、「齋藤先生は今日でご卒業です」と夏目がコメントしただけだ。

 齋藤孝というベストセラーを出し続けている明治大の看板教授に大変失礼な話ではないか。この番組は、いろいろな人に対して「失礼」を繰り返している。コメンテーターも頻繁に変わる。要は、番組の視聴率が上がらないのでプロデューサーらがコロコロと代わり、地に足がつかない。

「民放の雄」と形容されてきた老舗の放送局・TBSテレビの本社ビル=東京・赤坂「民放の雄」と形容されてきた老舗の放送局・TBSテレビの本社ビル=東京・赤坂

 今年1月からはGreeeenが「OHA☆YOU」という『あさチャン』のための書き下ろしたテーマ曲を使っていたのに4月からは別の曲に変更。たった3か月でテーマ曲なんて聞いたことがない。アーティストにも失礼な話だと思う。

 こうした頻繁なリニューアルを見ても「人を大事にしない」「場当たり的な」番組の雰囲気が画面からも伝わってくる。

 また『あさチャン』は「生」の情報番組だが、TBSは「生」が実に下手だ。改編のリニューアル初日は、『あさチャン』の前の『はやドキ!』で天気予報のコーナーでCGがまったく出ないミスがあった。

 キャスターが「今日の関東地方は1日穏やかに晴れ渡るでしょう。ただ千葉県では朝のうち濃い霧の出るところがありそうです。(中略)予想最高気温です。(中略)日中は20度前後まであがって4月下旬から5月上旬の暖かさになるでしょう」などと伝える間、画面はまだ暗い街の景色を映し出したお天気カメラだった。

 CGでお天気マークや気温などが表記されない。それにずっと気がつかないままにキャスターはずっと話し続けている。しかも「失礼しました」という釈明もしない。つまり技術も未熟なら、キャスターの技能も未熟なのだ。すぐに訂正せずに放っておくTBSの制作スタッフの演出能力も明らかに問題あるレベルだ。こうした基本的な技量不足によるミスが頻繁に起きてしまう。

 いうまでもなく、朝の番組は「天気」が命だ、どうやって伝えるかで各局がしのぎをけずっている。それなのにミスがあっても平然としている鈍感さは早くも末期的としか言いようがない。

 『白熱ライブ ビビット』で多少は番組らしくなったが・・・

 『あさチャン』の後の『いっぷく!』も改編で一新された。国分太一が司会していた『いっぷく!』はスタジオトークもつまらないし、中途半端な生活情報やスポット情報、ニュース情報も独自目線がもうひとつで、終わり間際は見るに耐えなかった。

 そこで始まった『ビビット』は、メインキャスターに真矢ミキを入れて、印象が変わった。番組のホームページで「芸能エンタメニュースや時事問題など、あらゆることに本音でぶつかり、生放送で白熱&激論」とある。オウム真理教の事件でTBSのワイドショーの取材スタッフが取材テープをオウム側に見せたことがきっかけで坂本弁護士一家殺害事件が起きてしまった反省から、当時、TBSは芸能情報や事件情報をレポーターが取材して歩くワイドショーから撤退すると宣言し、生活情報を主にした『はなまるマーケット』を開始した。1996年のことだ。

 それから昨年まで番組は続き、生活情報を中心とした流れは『いっぷく!』にも続いていたが、この『いっぷく!』も新しいスポット情報や芸能ネタ、事件ネタも入れるようになり、かつてのワイドショーの形と大差なくなったが、いかんせん、番組が面白くなくて、打ち切りになった。
そして真矢ミキがメインキャスターの『白熱ライブ ビビット』になって、テーマ的なタブーは設けないことを最初から標榜する。

 だが、かつてのワイドショーような、レポーターが事件でも芸能でも独自に取材する、という猥雑さは姿を消し、

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