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浅田真央の真意と「現役続行報道」(下)

「新しい真央」がフィギュアスケートの何かを変える

青嶋ひろの フリーライター

 アドバイスは、様々な人からあったという。外野がこれだけ大騒ぎしていたのだ。本人の周囲は大変なものだっただろう。

 「ファンのみなさんからのお手紙、声……本当にたくさんの方から応援していただきました。なかには、『まだできるよ!』という意見もあれば、『もういいんじゃないの?』という声もあったんです」

 熱心なファンからの声も大きい。

 会見でも、様々な質問が飛んだ。

 浅田真央にゆかりのある人物に取材をしている者は、その人の影響が大きかったのではないか、と問うた。被災地訪問を取材している者は、その経験も何がしかのきっかけになったのではないか、と聞く。

 「**の声が動かした!」とわかりやすく報道するために、「現役続行の理由」を決めてかかりたいようにも見える。

 また浅田に選手を続けさせたい人、彼女が戻ってくれば困る人。様々な大人の事情もあるだろう。

 彼女ほどになれば、自分の意志だけでは決められないほど、その決断の波紋は大きい。 

 「何か裏があるんですか? 強い力が動いたとか、復帰しなければならない事情があったとか……」

 そんなふうに勘ぐる人々もいる。それはもちろん、彼女が「復帰すれば、即世界チャンピオン」という強さを誇っているわけではないからだろう。

浅田真央拡大「大人な滑りができればいいな」と語った浅田真央
 しかしこの日の会見でわかった一番大事なことは、浅田真央は「試合に出たい、そのために練習する」と自分自身で決めたことだ。

 「自然と試合が恋しくなり、良い演技をしたときの達成感をまた感じたいな、と思うようになりました」

 「できるんじゃないかな、できないんじゃないかな……を繰り返してきたけれど、今は100%復帰したい気持ちでやっています」

 まわりがどれだけかしましくても、自分の気持ちを何よりも大事にした。自分自身が「やりたい!」という思い、その気持ちに従って、動き始めた。

 そしてその気持ちを、大きな会場に集う人々の前、あそこまではっきりと言い切った。その言葉が、この日彼女が発した一番美しい言葉だった。

 もう、外野が何を言おうと関係ない。浅田真央の「試合に戻りたい」、その気持ちがすべてだ。

 裏事情を探りたがる人はいるが、「自分で決めた」「自分の気持ちがなにより大きかった」。それは真実だと思う。それほど浅田真央は、芯の強いアスリートだ。

「自分の立てた目標」という力

 浅田真央のアスリートとしての最大の武器は何か?

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筆者

青嶋ひろの

青嶋ひろの(あおしま・ひろの) フリーライター

静岡県浜松市生まれ。2002年よりフィギュアスケートを取材。日本のトップ選手へのインタビュー集『フィギュアスケート日本女子 ファンブック』『フィギュアスケート日本男子 ファンブック Cutting Edge』を毎年刊行。著書に、『最強男子。 高橋大輔・織田信成・小塚崇彦 バンクーバー五輪フィギュアスケート男子日本代表リポート』(朝日新聞出版)、『浅田真央物語』『羽生結弦物語』(ともに角川つばさ文庫)、『フィギュアスケート男子3 最強日本、若き獅子たちの台頭 宇野昌磨・山本草太・田中刑事・日野龍樹・本田太一」(カドカワ・ミニッツブック、電子書店で配信)など。最新刊は、『百獣繚乱―フィギュアスケート日本男子―ソチからピョンチャンへ』(2015年12月16日発売、KADOKAWA)。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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