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道路整備のマクロ効果を議論する力を持とう(上)

首都圏の環状高速道路の完成が進むが、投資回収は不透明

倉沢鉄也 日鉄総研研究主幹

高速道路中央環状線の大橋JCT-大井JCTが全通し、山手トンネルでの記念式典が開かれた=2015年3月7日、東京都品川区拡大高速道路中央環状線の大橋JCT-大井JCTが全通し、山手トンネルでの記念式典が開かれた=2015年3月7日、東京都品川区
 首都圏の高速道路同士をつなぐニュースが次々と報じられてきている。さる3月には東名道につながる首都高速3号線の大橋ジャンクションと湾岸線の大井ジャンクションが開通し、首都高「中央環状線」が全線開通した。実に計画から52年たってのことであった。

 その52年前、東京五輪を翌年に控えた1963年に計画されたのは、「3環状9放射」と通称される東京の高速道路網の整備計画であった。戦後日本の経済成長と自動車台数を見越し、都市の成熟度合いにおいて数十年分先行しているとみなした欧米の大都市にならって整備する、というものである。

 都市の環状道路が完成することによって、東京で言えば東名高速や東北道等の放射状道路の半分以上の交通量を占めるという「通過交通」、例えば仙台から名古屋に行く用件のために通過点として東京を通るだけという自動車、が迂回路として使うことができ、東京を目的地とする交通の渋滞が緩和する(道路の持つキャパシティより交通の絶対量が多ければ解消はしない)、時間とガソリンの無駄が減る、経済効率向上にも環境負荷軽減にもいい、道路への莫大な投資は何十年かかけて社会全体で回収できる、という前提で計画されている。

 道路整備の計画とその事業執行(着工~完成)は難しい。経済の超長期の予測を仮設した上で高速道路にするか否か、車線数はどうか、どのルートを通すか、という計画を立て、法律の「別表」にどこからどこまで作るかを明記して国会の承認を得なければならない。52年前の「3環状」はその時点で国会イコール国民の了承を得たのであとは作るだけ、である。一方で現実には都市化して久しい用地を買収することの難しさ、その結果として莫大な費用を必要とするトンネル化、騒音や排気等の住民対応、さらには地域と直接関係ない団体による生態系保護等の圧力、そして財政難で公共事業総予算が圧迫される時代においてなお政治家の票田として地方の非都市地域の高速道路整備が優先されてしまう、といった課題に囲まれて、先に整備が必要な路線ほど事業執行が後回しになってきた。

 具体的に言えば、1964年開通の都心環状線を除いて ・・・ログインして読む
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筆者

倉沢鉄也

倉沢鉄也(くらさわ・てつや) 日鉄総研研究主幹

1969年生まれ。東大法学部卒。(株)電通総研、(株)日本総合研究所を経て2014年4月より現職。専門はメディアビジネス、自動車交通のIT化。ライフスタイルの変化などが政策やビジネスに与える影響について幅広く調査研究、提言を行う。著書に『ITSビジネスの処方箋』『ITSビジネスの未来地図』など。

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