16年間のブラッター会長体制崩壊、国際的舞台で求められる日本の役割
2015年06月05日
AFC(アジアサッカー連盟)選出の新FIFA理事として4月に当選、スイス・チューリッヒの理事会、総会でデビューした田嶋幸三氏(57=日本サッカー協会副会長)は、錦織の応援を止め、国内外との連絡、確認作業に追われたという。
1日早朝に総会から帰国した際には、「(会長に退任を迫るのは)汚職のエビデンス(証拠)がない現状ではやってはいけないと思う。今は、膿(うみ)を出し切るようにFIFA全体で努力しなければならない」と、5選を果たしたジョセフ・ブラッター会長(79)の体制について、冷静な対応を強調したばかりだ。
ところが、5選を果たした直後「レッツゴーFIFA!」と両こぶしを上げたブラッター会長が突如辞任を表明。わずか2日で、続投から辞任へ態度をひょう変させた会長に対し、田嶋氏は3日朝、日本サッカー協会(東京・文京区)で取材に応じ「わずか2日で何があったのか、急変を疑問に思う。自分は辞めない、と話していたのだから、一転して辞意表明した理由を明確に説明すべきだ」と、会長に説明責任を果たすように語気を強めた。
会長は「選手やファンに支持された再選ではないからだ」と話したが、「選手との不仲は昔から変わらない」(田嶋氏)と、今後AFC(アジアサッカー連盟)と連帯し、突然の翻意は汚職と関連するのかしないのかの説明を要求し、内容次第では速やかに会長職を離れるよう勧告するとした。
田嶋氏は、2011年、AFC(アジアサッカー連盟)理事としてアジアの不正や混乱を立て直す「評価委員会」の委員長に就任。今回の一連の捜査で追求されているAFCの当時会長だったハマム氏(カタール)らの不正を暴き、永久資格停止処分を科した。処分はあくまでもサッカー界内のもので、今回のような国際的な捜査や逮捕、証拠を積み重ねての訴追といったレベルには至らなかった。しかし、膿を出した構造的改革は、水面下での不正や金銭授受が日常化しつつあったアジア内の流れを大きく変化させた。
「任務が終わり、(汚職を暴かれる関係者からの嫌がらせで)命さえ危なかった
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