キャリアウーマン集団に進化したなでしこの真価
ワールドカップ2大会連続4強、ちっちゃい娘たちの変身とリスクマネージメント
増島みどり スポーツライター

オーストラリア戦でゴールを決め、チームメートに祝福される岩渕(中央)=2015年6月27日、カナダ・エドモントン
4強を決めたオーストラリア戦は暑さより、熱さとの戦いだった。人工芝が熱を吸収し、ピッチに置いた温度計はあっという間に50度に。運営側は散水をしたものの、まさに焼石に水である。サッカー女子日本代表「なでしこジャパン」が今大会初めて経験した午後2時からの試合で、彼女たちは体感温度より、足裏の皮が焼かれているような「熱」と戦った。
ブラジルを下した勢いと前線の圧倒的なスピードで猛攻を仕掛けてくると想定した豪州は暑さと、連戦での疲労から体力温存の戦術に変えて臨んできた。
日本にとって、想定した相手対策はここで大きく変わる。しかも足にこもる熱のせいでボールコントロールにもミスが増える。試合開始後、主導権を激しく奪い合う場面で多少なりともドタバタしながら対応するか、或いはベンチを伺い指示を待つか。
しかし今大会、6大会連続出場の澤穂希(36=INAC神戸、出場回数6回=以下同じ)を始め、17人ものW杯経験者を揃え、豪州戦先発でもW杯出場平均が2大会以上という「バリバリのキャリアウーマン軍団」は、ピッチで答えを出し、試合の流れを掌握してしまった。
この試合で攻守に活躍しMVPを獲得した宇津木瑠美(26=仏モンペリエ、2回)は、「宮間発信で指示が出ました」と試合後明かした。
「豪州の出方が全く違っていたのですが、宮間発信で‘先にポッゼションを
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