杉浦由美子(すぎうら・ゆみこ) ノンフィクションライター
1970年生まれ。日本大学農獣医学部(現・生物資源科学部)卒業後、会社員や派遣社員などを経て、メタローグ社主催の「書評道場」に投稿していた文章が編集者の目にとまり、2005年から執筆活動を開始。『AERA』『婦人公論』『VOICE』『文藝春秋』などの総合誌でルポルタージュ記事を書き、『腐女子化する世界』『女子校力』『ママの世界はいつも戦争』など単著は現在12冊。
※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです
大手企業の一般職は勝ち組といわれる一方で、今後は営業に出される可能性も
就職戦線真っ盛りだが、女子が職業に求めるものは大きく変化している。一言でいうとキャリア志向からワークライフバランスへ移った。子育てをしながら、仕事を続けたいと願っている。今から10年前の2000年代半ばに、企業が営業やエンジニアといった職種を女子に門戸を開いたが、当時、採用された女性総合職たちの多くは使い捨てされただけだった。そういう実情が分かれば、みな、”男性と同等に働くのが素敵!”という路線から、もっと地に足がついた方向を模索して当然だ。そういうトレンドの変化の中で、再評価される「女子一般職」と「女子大」の現状や真の価値について分析してみたい。
学生や20代のOLたちと話していて、彼女たちが「一般職」と口にするときには、羨望が感じられることが多々ある。今、企業は女子も男子も一括して「総合職」採用をするのが主流だ。総合職とは別に「一般職」を採用するのは、都市銀行や総合商社などの大手企業のみになってきている。つまり、「一般職」というのは大手企業の女性社員をさす。さて、どういう風にうらやましがられるのか。
大手商社の20代総合職はこう話す。
「同期の一般職は7割が早稲田や慶応出身で見た目は華やかな。たいした仕事をしていないし、定時で帰ってもいい。総合職は長期の海外出張も多いので出産後に仕事を続けるのはまず無理だけれども、一般職は時短勤務が認められて辞めずにすむ」
慶応のあるゼミは女子の全員が大手もしくは人気企業に就職するが、7割は
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