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2520億円白紙撤回でも変わらない問題の根っこ

有識者会議に不在のアスリート、パラリンピアン、女性の代表

増島みどり スポーツライター

 「さらに申し上げます。ほかの、どんな競技場とも似ていない真新しいスタジアムから、確かな財政措置に至るまで、2020年東京大会は、その確実な実行が、確証されたものとなります」(2013年ブエノスアイレスでのIOC=国際オリンピック委員会総会 五輪招致プレゼンテーション)

 「コストが予定より大幅に膨らみ、国民、アスリートから大きな批判があった。このままではみんなに祝福される大会にすることは困難だと判断した。(新国立競技場建設計画を)白紙に戻し、ゼロベースで見直す」(2015年7月)

新国立競技場について会見する建築家の安藤忠雄氏=2015年7月16日、東京都千代田区新国立競技場について会見する建築家の安藤忠雄氏=2015年7月16日、東京都千代田区
 引用は、もちろん安倍晋三首相による、わずか2年も経たない間での発言である。政治が約束し、政治が撤回する。莫大な費用も、国民、納税者、アスリート不在の構造も、問題の「根っこ」はここにある。首相が変わったら? 政権が交代するような事態が起きたら? 「前首相が決めた話」で終わらない保証などどこにもない。

 オリンピックのボイコット問題になれば、必ず「政治とスポーツに関係はあるのか」と議論される。しかし、今回の問題もまた、スポーツの会場建設が政治に翻弄されているという点で同じ構図である。白紙撤回にも違和感は募るばかりだ。

 近代オリンピックの創立者で

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