メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

浜田純一BPO理事長「自主規制機関で高い実績」

朝日新聞インタビューで、自民党からのメディア批判には「反論すべきときには反論」

川本裕司 朝日新聞記者

 「自主規制機関として高い実績をあげていると自負しており、制度の見直しは必要ない」。東大総長を退任し4月から第三者機関「放送倫理・番組向上機構(BPO)」の理事長に就任した浜田純一氏(65)が、朝日新聞のインタビューで自民党から出ていたBPOへの批判に対し、組織の見直しを否定した。番組制作の課題として「ネット時代は情報の出し方について気が緩む場合がある」と指摘。自民党から相次いだメディア批判については「反論すべきときには反論しないといけない」と述べた。

 浜田理事長の専攻は情報法。研究者として、言論の自由やメディアを取り巻く法的な問題を研究してきた。総選挙報道に対するNHKと民放キー局への要望書提出(昨年11月)、テレビ朝日とNHKの幹部を呼び出しての事情聴取(今年4月)、懇話会での報道機関への威圧発言(6月)など、自民党による報道の自由に関わる言動が続くなか、BPOとしての考え方や放送番組の課題などについて聞いた。インタビューの一問一答は次の通り。

 ――理事長になって約4カ月、BPOに対する視聴者の見方をどう感じているか。

 「社会的話題になったケースで賛否が分かれる問題について番組が偏っている、偏っていないといった意見や、青少年への影響に関する意見などが多い。放送局よりBPOの方が第三者として扱ってくれるという視聴者の思いを実感している」

 ――BPOで審議される事例が絶えない現状をどう見ているか。

 「視聴者の目が肥えてきているうえ、人権などの権利意識が高まっているので、審議する案件が減らないのは自然なことだと思う。同じような番組でもかつてなら見逃され問題にならなかったものでも対応することが増えているからだ。また、放送は生き物だから同じパターンが繰り返されるわけではない。新しい形で表現のチャレンジをしたとき、問題が生じることもある。だから審議する案件が減ればいいというものではなく、広く議論される中で時代に相応しい放送のよりよい効用発揮へと成長があればいい」

浜田純一放送倫理・番組向上機構(BPO)理事長浜田純一放送倫理・番組向上機構(BPO)理事長
 ――BPOについての自己評価は。

 「BPOにある三つの委員会ではこれまで100近い勧告や見解、提言などを出してきた。法的根拠はないが、厳しい判断でも放送局はきちんと順守し、どのように対応したかを報告している。裁判所のように結論を出し、あとは判決文を読んでくださいというのではなく、BPOでは委員会が出した結論に至った理由や判断の根拠を説明したうえで、当該放送局との意見交換や勉強会もしている。自主規制機関としてかなりの実績を積み重ねていることは自負、自慢していい。例えば、放送倫理検証委員会が昨年4月に出したフジテレビのバラエティー番組『ほこ×たて』についての意見では、制作過程が適切でなかったという判断を示したが、企画自体については評価していた」

 ――しかし、テレビ朝日「報道ステーション」のコメンテーターが菅義偉官房長を批判した際、自民党は幹部を聴取しBPOへの申し立てを検討していることが明らかになりました。党内では運営資金が放送界から出されていることに「お手盛り」との批判がかねてくすぶっていたが。

 「自主規制機関である以上、運営資金を放送界が負担

・・・ログインして読む
(残り:約1992文字/本文:約3327文字)