8月16日、京の人々は365日のうちの30分間に精霊を見送る
2015年08月11日
下界にいて、暑い暑いと文句をたれているが、山上ではどれほど大変だろうといつも想う。送り火を目前に、蔓延る雑草を取り、山路の補修に余念がない。五山の送り火は、山麓に暮らす人々の有志で、連綿と受け継がれている。
わたしたちは、8月16日の夕刻に鴨川あたりに夕涼みに出て、送り火を眺めるだけである。午後8時ちょうどに大文字、8時5分に「妙」「法」が同じタイミグで点く。8時10分に船形、8時15分に大文字(左)、8時20分に鳥居形と、5分刻みで五山に火が灯る。五山の灯を全部見ようと躍起になっている観光客からは「えっ、早すぎる。もう終わった」と騒いでいる声が聞こえる。街なかから眺める者にとっては、あっと言う間の刹那の美であるが、保存会の方々にとっては一年を通じての一コマである。
たとえば如意ヶ嶽の大文字には、75基の火床が置かれ、薪600束、松葉に麦わらが用意される。一年の始めにアカマツが選定され、
有料会員の方はログインページに進み、朝日新聞デジタルのIDとパスワードでログインしてください
一部の記事は有料会員以外の方もログインせずに全文を閲覧できます。
ご利用方法はアーカイブトップでご確認ください
朝日新聞デジタルの言論サイトRe:Ron(リロン)もご覧ください