日本代表の不振が続く世界陸上、古くさい表現が批判受けたスポーツ紙「オコエ報道」
2015年08月26日
北京世界陸上(22~30日、通称鳥の巣)の初日から、勢いよく「リオデジャネイロ五輪内定」の見出しが躍るはずだった。
日本陸連は今大会前、男女マラソンと競歩については「入賞(8位以内)で日本人最上位の選手に、リオの内定を出す」と決定。世界水泳の金メダルとは少し異なる「等身大」の目標なら、とトップバッターだった男子マラソンでは、藤原正和(ホンダ)、前田和浩(九電工)の34歳ベテランコンビに大きな期待が集まった。しかし、男子マラソンの「意地」として8大会続けてきた入賞さえ途絶える惨敗に終わる。
翌日、失望の分だけ「今度こそ間違いなく内定だろう」と期待が膨らんだ男子20キロ競歩、世界記録保持者・鈴木雄介(富士通)はまさかの途中棄権。なかばぼう然とするメディアの前で「ふがいない」と涙をこぼした。
想定外の五輪内定者ゼロで迎えた大会4日目(25日)、重苦しく、よどんだ空気を一気に吹き飛ばしたのは若きスプリンター、最年少出場の16歳のサニブラウン・アブデル
7月の世界ユース選手権で100、200メートルの2冠を手にした逸材は、優勝候補のガトリン(米国)に次ぐ2位で準決勝進出を果たした。国体選手でトップランナーだった母と、ガーナ人の父を持ち、小学3年から本格的に陸上を始めたという。
甲子園を沸かせたオコエ瑠偉外野手(関東一高)から次いで、またも父がアフリカ系のティーンエイジャーの躍進は、日本のスポーツ界に様々な影響をもたらすだろう。
報知新聞がオコエについて「甲子園がサバンナと化した」「獲物のように追いかけた」といった表現を使い、これに対し「偏見と人種差別」と批判が集中した結果、記事を削除する問題も起きている。
差別や偏見以前に、記者だけではなく、原稿の表現を適切に手直しすべきデスク、表記を確認する校閲、部長や編集局まで、「甲子園がサバンナと化した」との、何だか分かったような、実はよく分からない表現を通してしまったミスは大きい。アフリカといえばサバンナだ、足が速いと誰もがヒョウにされてしまう、勝負勘が鋭いといつでも「野生」とか「狩り」に例える。 筆者もスポーツ紙出身だから、仕事をしていた頃から変わらない、古臭い表現だ。
こうしたマンネリが、
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