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[1]羽生結弦がアイスショーで取り組みたいこと

青嶋ひろの フリーライター

 8月上旬。トロント(カナダ)にて報道陣に練習を公開した羽生結弦が語ったという、こんな言葉が話題になった。

 「自分がまだベストな状態の時に、プロスケーターとしてありたい。プロとしての仕事を全うできる体力の状態でやりたいという気持ちがある」(8月7日朝日新聞夕刊)

 2年半後に迫ったピョンチャン五輪で2度目の金メダルを獲得した後は、競技生活の第一線から退き、アイスショーの世界で活躍したい、という意向を示したもの。現在20歳、次の五輪後でもまだ23歳。引退するには早すぎないか……そんな意見が多く、若きチャンピオンの言葉は大きく注目されたようだ。

、カナダ・トロント拡大練習拠点のカナダ・トロントで=2015年8月10日
 この発言、数日後に一部メディアにて、「小さいころに描いた将来設計を語っただけ」「ピョンチャン後にどうするかは、まだわからない」と本人によって否定された形になったのだが、羽生がプロスケーターという形で引退後も活躍することに大きな意欲がある、そのことは確かだろう。

 ここではスケーターにとってのアイスショー、フィギュアスケートという「競技」とは別の「アイスショー」という芸術、興行ジャンルの有り様について、少し考えてみたい。

プロスケーターは「過去の人」?

 「羽生君の考え、よくわからないんですよ。素人の感覚で言うと、体力があるうちは競技に出たほうがいいじゃないか、と思うのですが」

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筆者

青嶋ひろの

青嶋ひろの(あおしま・ひろの) フリーライター

静岡県浜松市生まれ。2002年よりフィギュアスケートを取材。日本のトップ選手へのインタビュー集『フィギュアスケート日本女子 ファンブック』『フィギュアスケート日本男子 ファンブック Cutting Edge』を毎年刊行。著書に、『最強男子。 高橋大輔・織田信成・小塚崇彦 バンクーバー五輪フィギュアスケート男子日本代表リポート』(朝日新聞出版)、『浅田真央物語』『羽生結弦物語』(ともに角川つばさ文庫)、『フィギュアスケート男子3 最強日本、若き獅子たちの台頭 宇野昌磨・山本草太・田中刑事・日野龍樹・本田太一」(カドカワ・ミニッツブック、電子書店で配信)など。最新刊は、『百獣繚乱―フィギュアスケート日本男子―ソチからピョンチャンへ』(2015年12月16日発売、KADOKAWA)。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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