久田将義(ひさだ・まさよし) TABLO編集長
TABLO編集長。1967年、東京都生まれ。法政大社会学部卒業後、産経メディックスに入社。三才ブックス、ワニマガジン社の後、ミリオン出版に移籍し2001年から「実話ナックルズ」編集長。06年に選択出版に移り、週刊朝日を経てミリオン出版に復帰。12年9月まで編集局次長。犯罪や芸能界に詳しい。著書に『トラブルなう』『原発アウトロー青春白書』『僕たちの時代』(青木理氏との共著)。
現在、山田浩二容疑者が否認を貫いているが、(2015年9月15日現在)、防犯カメラ等から山田容疑者への包囲網がせばまっている。しかし、山田容疑者は否認したままなので、新聞、週刊誌記者らもここからの進展は、彼の自白を待つだけとなり、記事も「停滞」してしまっているように見受けられる。
従って、今回は事件の真相よりも、この事件による周囲の反応に焦点をあててみたい。まず、この事件によってネットの拡散効果の罪が明らかになってきたように思う。
今年2月20日に遺体が発見された、川崎市中学生殺人事件との共通項が挙げられる。川崎市中学生殺人事件では、ネットが先行し、犯人と目される少年たちの写真がアップされ、拡散されたが結果、別人であった。
一時は、マスコミもこのネット情報に飛びついた所もあり、週刊誌等では記事にはしていないが、ネットニュースではあたかもこの写真の少年が事件に関わっているのでは? と、ほぼ断定的にアップしていた。これは恐ろしい事で、1988年から1989年にかけて起きた「綾瀬女子高生コンクリ殺人事件」では、芸人スマイリーきくち氏が犯行にかかわっていたのではないかと、約10年に渡ってネットに流布された。ネットの暴力である。
寝屋川市中学生殺人事件でも同様の事が起きていた。被害者の親が怪しいとされ、顔写真が拡散された。曰く「金髪である」「タトゥーがはいっている」といった外見から判断されたコメントが多く、スマイリーきくち氏と同じような、いわばネットリンチに近い形になっていた。恐らく、そこから出ているのだろう、「中学一年生を朝の5時に外出させて教育上、良いのだろうか」という批判が見受けられる。
確かに、僕が親だった
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