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世界選手権、W杯のテレビ局の伝え方それぞれ

「世界陸上」織田裕二は日本選手優先を否定、ラグビー解説ではセクシー動画……

川本裕司 朝日新聞記者

 来年のリオデジャネイロ五輪を前に、さまざまな競技の世界選手権などがこの夏から秋にかけて目白押しだ。世界トップクラスの選手の躍動をとらえるテレビ中継に、視聴者の目は奪われる。9月には五輪出場権をかけたバレーボールのワールドカップや4年に一度のラグビーのワールドカップが連日、放送されている。ただ、その伝え方はテレビ局によって異なる。

 2年ごとに開催される陸上の世界選手権を放送権をもっているのはTBS。メインキャスターを俳優織田裕二とフリーアナウンサー中井美穂の2人が1997年から務めるのもすっかり定着した。

 8月に北京で開かれた世界陸上の終盤、こんなやり取りがあった。中井が「日本選手の成績に『あーあ』と思っている方も多いでしょうが」と何げなく話した。すると、織田は「僕は『あーあ』となんか思ってませんよ」と反応し、海外トップ選手のレベルの高さを称賛したのだった。

陸上の世界選手権400メートルで優勝したアリソン・フェリックス=2015年8月27日、北京・国家体育場拡大陸上の世界選手権400メートルで優勝したアリソン・フェリックス=2015年8月27日、北京・国家体育場
 最終日前日の8月29日の放送では、女子400メートルリレーで銀メダルとなったフェリックスら米国の選手たちを、TBSのアナウンサー(石井大裕)が何とかつかまえ、短いインタビューを伝え終えた。ところが、織田は「石井さん。大切なことを聞いてないよ」と注文をつけて、言った。「あすの(1600メートル)リレーにアリソンが出場するか聞いてないじゃない」

 アリソンとは米短距離のエース・フェリックスのファーストネームだ。他の選手はいつも通り名字だが、織田だけはフェリックスを「アリソン」と呼んでいた。

 織田は、日本選手ばかりに照準を合わせるスポーツ報道に対する批判を意識的に示したのかもしれない。一流の選手の走りや跳躍を評価し紹介することに使命感をもっているようにも感じられた。世界陸上のキャスター経験を重ねるに連れて陸上競技について知識を蓄えるとともに、織田カラーを強めているようにも映る。

 織田の手法が評価されたかどうかは定かでないが、今年の世界陸上を64時間余り中継したTBSの視聴率は平均で10.5%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と、歴代3位と好調さだった。これまでの最高は2003年パリ大会の11.9%、次いで07年大阪大会の11.5%だった。TBS宣伝部では「今年の北京大会から主な競技の放送予定時刻を、新聞の番組面などで○時○分ごろと表記したところ、視聴者から好評でした。これまでは全部見てもらいたいと告知しなかったのですが、ネット時代で隠す必要がないと判断しました」と言っている。

 ところで、相方の中井がフジテレビアナウンサーの駆け出しだったころ、私は会ったことがある。中井はたまたま顔を合わせたテレビ朝日アナウンサーからフリーに転じていた古舘伊知郎に相談を持ちかけた。「私にはこれというものがないんです」と打ち明けると、

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筆者

川本裕司

川本裕司(かわもと・ひろし) 朝日新聞記者

朝日新聞記者。1959年生まれ。81年入社。学芸部、社会部などを経て、2006年から放送、通信、新聞などメディアを担当する編集委員などを歴任。著書に『変容するNHK』『テレビが映し出した平成という時代』『ニューメディア「誤算」の構造』。

 

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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