有志の会世話人に江原由美子さんら、社会運動の学際的な研究の場も発足
2015年10月06日
9月19日、社会学者たちが、早稲田大学での日本社会学会大会時に「安全保障関連法に反対する社会学者有志の会」を発足し声明を出した。「社会学は、現在起きている社会現象のなかに問題を発見し、距離をとって認識を獲得したうえで、その認識が社会の現場や問題とどのようにかかわることができるのかをつねに自省する実践的な学問であり、私たちは社会学者として沈黙を続けることはできません」とし、「私たちは社会学の研究・教育を行う者として、安全保障関連法にかかわるあらゆる問題を問い続けるとともに、社会を構成する一市民として、日本社会に自由と平和を取り戻すために実践を続けていきます」と述べている(http://antiwar-sociologists.jimdo.com)。
世話人には、フェミニズムの江原由美子、『インパクション』の編集委員で男性学で知られる伊藤公雄、エスノメソドロジ―の研究者で最近では輸入血液製剤によるHIV感染調査を行った好井裕明、「安保関連法案に反対する被災三県大学教員有志の会」の呼びかけ人で新幹線公害論や環境社会学、反原子力社会論(『脱原子力社会へ——電力をグリーン化する』岩波書店)で知られる長谷川公一らである。
社会運動研究者はどうかといえば、1985年の関東社会学会シンポジウムをきっかけとして設立され、『社会運動論の統合をめざして』 『社会運動の現代的位相』『社会運動研究の新動向』『社会運動という公共空間』『社会運動の社会学』(成文堂)を刊行してきた「社会運動論研究会」が、やはり9月20日に、安保法案強行採決に対する声明を出している。
「今回の抗議行動は、間違いなく今世紀に入ってからの日本で最大規模のものであり、その広がりの大きさに見合った形で、政治は応答する責任がある。しかし政府与党は、抗議行動の盛り上がりを恐れて連休前に強行採決するという姑息な方法をとった」
「安保法案に対する反対運動は、他のイシューと比較して別格といってもよいくらいの動員水準に達している。これは、『平和国家』というアイデンティティが、日本にいかに深く根付いているかを示すものである」
「社会運動が要請する民主主義的な手続きをなきものにし、社会全体に根を張った平和主義を覆す点で、政府与党が無血クーデターをはかったと言われても仕方ない。さらに、反対運動の盛り上がりを『既成勢力の動員』や『一過性の現象』としてみるのは誤りである。日本に
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