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3兄弟《灘→東大理Ⅲ》の佐藤ママ本は名著(下)

企業は新卒採用で「偉い人の子供」を嫌うのはなぜか

杉浦由美子 ノンフィクションライター

企業は採用面接で”偉い人の子供”を嫌う

 前半では、佐藤亮子氏は実用書の優れた著者であることを説明した。佐藤ママの最初の著作『「灘→東大理三」の3兄弟を育てた母の秀才の育て方』(角川書店)は特に分かりやすいハウツー本である。

自分の番号を見つけ喜ぶ受験生と母親ら=2013年3月8日、福岡市東区の九州大箱崎キャンパス拡大自分の番号を見つけ喜ぶ受験生と母親ら=2013年3月8日、福岡市東区の九州大箱崎キャンパス
  だが、この佐藤ママの著作を、周囲のママたちに貸すことを私はためらっている。

  なぜなら、この本を読んで「なるほど」と感心する一方で、私はひどく傷ついたからだ。

  アメリカのハリウッドセレブが、アフリカやベトナムの孤児を養子にすると「選ばれた子と選ばれなかった子の格差が過酷だ」という指摘がでてくる。同じことを佐藤亮子氏の本を読んで私は感じた。
優秀な母親に、愛情を注がれ、ここまで尽くしてもらえる子供たちがいて、一方で、親から放置されたり、虐待されたりする子供がいる。この格差は経済的な問題だけではない。

  企業の採用を代行している人材コンサルタントがこう話していた。

  「毎年200人以上の面接をしていますが、本当にまともな子が少ない。まず、やつらは大学受験をしていない。あと、偉い人の子供がひどい」

エリート家庭は子供を放置する

  なぜ、偉い人の子供がひどいのか。それは社会的な地位が高い人たちほど、子供を放任するからだ。

  ハリウッドドラマの中で、「金持ちは子供を放置して育てる」という台詞があった。欧米はカップル文化なので、富裕層は夫婦で社交や仕事に忙しい。彼らは子供の世話をしない。彼らの関心事は、自分が社会でどう評価されるか、どう稼ぐかである。子育てにはさほど興味が持てない。子供をベビーシッターに預けっぱなしにしていてもさほど問題はない。

  アメリカの名門大学の多くは、私立大学であり、入試は内申書中心の推薦入試なので、コネクションやノウハウがある金持ちの子供が有利に

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筆者

杉浦由美子

杉浦由美子(すぎうら・ゆみこ) ノンフィクションライター

1970年生まれ。日本大学農獣医学部(現・生物資源科学部)卒業後、会社員や派遣社員などを経て、メタローグ社主催の「書評道場」に投稿していた文章が編集者の目にとまり、2005年から執筆活動を開始。『AERA』『婦人公論』『VOICE』『文藝春秋』などの総合誌でルポルタージュ記事を書き、『腐女子化する世界』『女子校力』『ママの世界はいつも戦争』など単著は現在12冊。

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