国際サッカー界が取り組む八百長撲滅、日本協会が開いた定例セミナーに漂う危機感
2015年10月14日
7日、日本サッカー協会(JFAハウス)がある東京都文京区のホテルで、FIFA(国際サッカー連盟)とEWS(Early Warning System=早期警告システム)を開発、管理するEWS社、日本サッカー協会、Jリーグが主催し、「インテグリティ(透明性、高潔性といった意味の英語)委員会」が行われた。
2007年、FIFAは「サッカーの透明性、スポーツの高潔性を守る」と、賭博、八百長問題に対して、これを一括して監視するEWSを確立。過去に遡って何万もの試合でデータ管理し、異常な賭け率の変動などを24時間、365日監視するシステムで、インターポール(国際刑事警察機構)とも提携し、欧州では380試合、全世界で実に680を越える試合の監視、捜査を続けてきた。日本サッカー協会も2011年に契約、Jリーグも毎試合が監視体制下にある。
毎年、巧妙な手口に関する世界的な傾向と対策、総括を確認、共有し合う定例の、いわば勉強会的な意味合いでセミナーが行われている。しかし今回は、わずか2日前、プロ野球巨人の福田聡志投手が野球賭博に関わったとして、巨人が同選手に対する謹慎処分と、告発する可能性を(その後、有害行為に違反するとして告発)発表したばかりのタイミングに偶然、重なった。
JリーグはJ1からJ3、また今後Jリーグ入りを目指す各クラブ、審判、警察庁、警視庁関係者、サッカーくじ「TOTO」を実施するJSC(日本スポーツ振興センター)、さらにJOC(日本オリンピック委員会)、2020東京オリンピック・パラリンピック組織委員会、1日に新設されたばかりのスポーツ庁からも多数が出席し、計140人を越えた。
これだけ多くの関心を集めた背景には、現在はクライマックスシリーズで先送りされてしまった感のある重大な問題が今後及ぼす波紋、それに対するスポーツ界全体の危機感が横たわる。出席したJリーグ・村井満チェアマンは、Jリーグが世界で450もの賭け屋の対象とされている現状を明かし「リスクは野球の比ではなく、サッカー界がこの問題に対し断固とした姿勢で取り組まなければ、日本のスポーツ界の根幹を揺るがしてしまう」と、現状への厳しい認識を示した。
9月には、東京五輪の組織委員会がIOC(国際オリンピック委員会)に対して、
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