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マイナンバーシステム汚職の影響(下)

欧米ではシステム構築の役人と信頼できる民間企業が情報交換し仕様を書かせる

倉沢鉄也 日鉄総研研究主幹

 競争原理や透明性を担保することに長けた欧米はどうなのか。筆者は15年ほど前、現地でさまざまに調査したことがあるが、要するに欧米は「公募手続き前にいかに癒着しておくか」を前面に押し出して政府自治体の大規模ITシステムを上手に構築・運用していることがわかった。

 米国などはそもそも各分野(例えば軍事、税金……)のITシステムごとに官と民間での転職自体が頻繁に行われることから一定の知見が官側にも蓄積されるのだが、それでも当の役人たちは「1年2年と民間を離れたら最新のトレンドはもうわからない。発注仕様も品質保証できない」と言っていた。

現金を渡したとされる会社が入るビルを家宅捜索した警視庁の捜査員=2015年10月13日、東京都千代田区拡大現金を渡したとされる会社が入るビルを家宅捜索した警視庁の捜査員=2015年10月13日、東京都千代田区
 そして複数の役人と、複数のシステム会社が「大規模なITシステムであればあるほど、信頼できる民間企業数社と念入りに情報交換し、仕様を何度も書かせ、絶対ミスのないITシステムを作らねばならない。企画競争の最後のタマは各社隠し持っているので競争は成り立つ。ITシステムが無事に動くことが、透明性に優先する政府の責任だ」とも言っていた。

 本稿では理由と論考を一切省略するが、民間の投資で構築するPFI(プライベート・ファイナンス・イニシアチブ)の導入もITにはなじまない。それは現在内閣府のホームページもリスクとして明記してあり(「PFI事業導入の手引きQ2」より)、15年前の欧米でのインタビューでも、官僚もITシステム会社もシンクタンク等も全員が、大規模なIT-PFIは無理だと言っていた。だから大規模ITはあくまで政府自治体が自分の資産として構築運営し、手慣れたITシステム会社が手をかけ続けないと、成立しない。

 現在、私たちの生活、経済活動、すべてが大規模ITシステムから逃れることはできない。今は中央政府の「行政事業レビュー」(民主党政権での「仕分け」の発展版)をはじめ、

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筆者

倉沢鉄也

倉沢鉄也(くらさわ・てつや) 日鉄総研研究主幹

1969年生まれ。東大法学部卒。(株)電通総研、(株)日本総合研究所を経て2014年4月より現職。専門はメディアビジネス、自動車交通のIT化。ライフスタイルの変化などが政策やビジネスに与える影響について幅広く調査研究、提言を行う。著書に『ITSビジネスの処方箋』『ITSビジネスの未来地図』など。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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