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『ヒモザイル』休載、ヒモはネガティブな言葉か

東村アキコの新連載漫画 甲斐性なしの男では女性に養ってもらえない

杉浦由美子 ノンフィクションライター

「イッツ・ア・スモールワールド」のパネルの前で語る東村アキコさん=2012年3月17日、名古屋・松坂屋美術館拡大「イッツ・ア・スモールワールド」のパネルの前で語る東村アキコさん=2012年3月17日、名古屋・松坂屋美術館
 『モーニング・ツー』(講談社)の東村アキコ新連載漫画『ヒモザイル』が、ネットで公開されたところ、批判が巻き起こり、まさに大炎上となった。そのため、作者本人が申し出て、休載が決定した。

 さて、どんな作品だったのか。『実録!ヒモ男養成』というキャッチコピーで、東村さんの元にいる男性アシスタントたちを磨き上げ、経済力があるキャリアウーマンとマッチングさせようという内容だ。

 なにが批判になったかというと、産経新聞が2015年10月22日に配信した記事によると、「ツイッターを中心に『専業主夫をヒモと言うのが問題』『ヒモというネガティブな言葉を使うのは良くない』などと批判的な書き込みがあった」とのことである。

 確かに、経済力がない男性アシスタントを改造して、アラサー女子好みにしていくという企画は、安易だし、新鮮さもない。しかし、そんな手垢にまみれた『婚活』企画も、天才東村アキコが描くと、キラキラした傑作コメディ漫画になっていく。

 たとえば、アラサー女子好み男子になるためのアドバイスは「抜け感があること」で、「頑張ったオシャレではなく、白いシャツにチノパン、コンバースのスニーカーを履いているようなファッション」との具体的な説明は”あるある感”満載だ。コンバースのスニーカーは底が硬くて履きづらいが、それでも人気なのは、”抜け感”演出に便利だからなんだなーっと再認識させられた。

 このように『ヒモザイル』を愛読していた身としては、今回の騒動には、色々と嘆き悲しみがあるが、そういう私情は抜きにして、私がひとりの記者としての客観的な視点で、不思議でならなかったのは、「ヒモ」というのは、そんなにネガティブな言葉なのだろうか?

女性をケアする存在への誇り

 30年ほど前だろうか。当時はテレビも予算も潤沢で、丹念に取材をしたドキュメンタリー番組がよく放送されていた。その中で印象に残っているのは、ストリッパーのヒモを追いかけたものだ。楽屋でストリッパーの支度を手伝う男性は「ヒモは ・・・ログインして読む
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筆者

杉浦由美子

杉浦由美子(すぎうら・ゆみこ) ノンフィクションライター

1970年生まれ。日本大学農獣医学部(現・生物資源科学部)卒業後、会社員や派遣社員などを経て、メタローグ社主催の「書評道場」に投稿していた文章が編集者の目にとまり、2005年から執筆活動を開始。『AERA』『婦人公論』『VOICE』『文藝春秋』などの総合誌でルポルタージュ記事を書き、『腐女子化する世界』『女子校力』『ママの世界はいつも戦争』など単著は現在12冊。

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