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2020年大学入試改革案の危険性

知識活用型めざすが、中高一貫校や小論文や面接のトレーニングできる塾・予備校が有利

和田秀樹 精神科医

 ここしばらくの日本の政治というのは、まさに集団的自衛権問題一色だった印象が強いが、それに隠れて、一般庶民にかなり危険なことが決められたり、決められつつあるように思えてならない。たとえば、労働界などの反対で過去に2度も廃案になっている労働者派遣法の改正案が9月11日についに可決、成立した。

大学入試改革の津尾伸を下村博文文科相(当時、左)に手渡す中教審の安西祐一郎会長=2014年12月22日、東京・霞が関大学入試改革の津尾伸を下村博文文科相(当時、左)に手渡す中教審の安西祐一郎会長=2014年12月22日、東京・霞が関
 私自身は労働法規のプロではないので、これが日本の労働者にどのような影響を与えるのかについて、きちんとした予測ができないが、学生時代から30年以上にわたって受験業界にかかわってきた者として、非常に危険に感じるものに。昨年の12月22日に、中央教育審議会が答申した大学入試改革案がある。

  基本的な趣旨としては、大学入試センター試験を廃止し、「大学入学希望者学力評価テスト」を年複数回実施することと、各大学の入試については、これまでの「知識偏重型」から、思考力や判断力を多面的に評価する「知識活用型」への移行を目指すというものだ。

  これが耳触りがいいために、表だった反対の議論がほとんど出てこないが、「詰め込み教育」やペーパーテスト学力の否定というのは、文部科学省の基本的路線であり、2002年施行の「ゆとり教育」に関しては表向き撤回されたが、今度は初等・中等教育の出口というべき大学入試で、その路線をさらに徹底したものとしていると言えるものだ。

  もちろん私は、これが非常に危険なものと感じている。

  それにはいくつも論拠があるが、今回は、これがそうでなくても広がっている豊かなものと貧しきものや都会と地方の教育格差をさらに拡大するものとして問題にしたい。

  この答申によると、現行のセンター試験は、「大学入試希望者学力評価テスト(仮称)」と改称されるが

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