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3年後、ポスト白鵬は照ノ富士プラス群雄割拠か

遠藤、千代鳳、大砂嵐、高安、逸ノ城に求められる一段の成長

倉沢鉄也 日鉄総研研究主幹

 古今、世界のあらゆるスポーツの中で、年間90日の公式試合を1試合も欠かさず戦い、その中で10年近く頂点に君臨し、しかもその成績が200年以上の歴史の中でほぼ史上最高、という存在は稀有だ。大盛況の「相撲場見物ブーム」(やくみつる氏いわく)の中、8年ぶりに横綱白鵬のいない大相撲平成27年秋場所は、たとえ出場者の実力上位2人(横綱鶴竜、大関照ノ富士)の優勝決定戦で決着してもなお、12勝3敗では食い足りなさが残った、白鵬が本来の力で臨んでいればその決着ではなかっただろう、というのがスポーツ報道の範囲の大まかな見え方だったと思われる。

大相撲秋場所9日目、照ノ富士(左)は寄り切りで逸ノ城を破る=2015年9月21日、両国国技館拡大大相撲秋場所9日目、照ノ富士(左)は寄り切りで逸ノ城を破る=2015年9月21日、両国国技館
 そうした中で、30歳7カ月(以下年齢はすべて11月1日現在)となった第一人者・白鵬のキャリアにもいつか終わりは来る。晩年の休場が大横綱の気力、体力、勝負勘を衰えさせ、そこから優勝争いを主導できなくなっていく歴史はこれまででも明らかである。新たな怪我や病気がなければ白鵬はもう2、3年は現役を続けることができ、現状の優勝35回に少なくとも3、4回の優勝が上積みされるものと思われる。それはこれまでの白鵬の実績には見劣りするペースかもしれないが、横綱(日馬富士6回、鶴竜2回)以外の優勝経験者が照ノ富士(1回)しかいない現状で、優勝を目指す新たな力士が越えるべき壁として立ちはだかる力量と役割はまだ十分ある。それは、日馬富士も鶴竜も同じことだ。

 なお白鵬については、すでに十両石浦など内弟子複数を抱えている。外国籍のまま親方になる(現行の日本相撲協会の規則では不可能。一方モンゴルの最高栄誉の称号「労働英雄」を親子二代で授けられた立場上、日本への帰化の決断もやや難しい)ための可能性も視野に入れていると考えられ、そうした課題の克服も含めて数年先の「白鵬Xデー」に着目しておく必要がある。

 35歳まで現役だった横綱千代の富士を最大の例外として、力士が30歳を超えて優勝争いに毎場所関われるほどの全盛期を迎えることは難しい。ならば現在の横綱大関がポスト白鵬を担う可能性は、照ノ富士以外はほぼない。彼以外の3横綱3大関は全員同世代の29歳~31歳であり、彼らが白鵬とともにいっぺんにいなくなる。これは関脇以下も同様で、この平成27年の6場所で三役以上(横綱大関関脇小結)となった力士のうち、白鵬に対してマイナス3歳以下なのは逸ノ城(22歳6カ月)、照ノ富士(23歳11カ月)、高安(25歳8カ月)の3人しかいない。つまりあとの力士はすべて28歳以上だ。あと3、4年たてば上位陣は総入れ替えとなる。

 照ノ富士以外はどうか。逸ノ城が昨年秋場所に一度だけその片鱗(新入幕、横綱大関を倒し13勝2敗)を見せたのみで、若手力士の誰も優勝を争う結果は出せていない。遠藤(25歳0か月)も千代鳳(23歳0カ月)も大砂嵐(23歳8カ月)も琴勇輝(24歳6カ月)も高安も、この2年ほどは怪我の影響もあり横綱大関と総当たりする上位の常連にはなれていない。

 さらなる若手としては、この1年程度で十両以上に上がってきた輝(21歳4カ月)、阿炎(21歳5カ月)、阿武咲(19歳3カ月)、大栄翔 ・・・ログインして読む
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筆者

倉沢鉄也

倉沢鉄也(くらさわ・てつや) 日鉄総研研究主幹

1969年生まれ。東大法学部卒。(株)電通総研、(株)日本総合研究所を経て2014年4月より現職。専門はメディアビジネス、自動車交通のIT化。ライフスタイルの変化などが政策やビジネスに与える影響について幅広く調査研究、提言を行う。著書に『ITSビジネスの処方箋』『ITSビジネスの未来地図』など。

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