37年ぶりの優勝だが、歓喜より課題、反省点が先に・・・
2015年11月12日
内村航平(26=コナミスポーツ)の胸には、団体総合、個人総合、種目別鉄棒の3つの金メダル、勢いに満ち溢れる若手エース、白井健三(19=日体大)もゆかの金メダルを持ち帰り(あん馬銅メダルの萱和磨は転戦のため帰国せず)、リオデジャネイロ五輪前年の世界選手権としてはこれ以上ない成果を収めたといえる。何よりも、世界選手権では1978年のストラスブール大会以来37年ぶり、五輪でも2004年のアテネ五輪以来11年ぶりと、団体でどうしても勝てなかった中国を下して(中国3位、英国2位)獲得した金メダルの輝きは特別だ。
グラスゴーでの歓喜から数日が経過しているのももちろん一因ではある。しかし凱旋会見だというのに、派手さや威勢のいい言葉よりも先ずは課題を口にするのもまた、日本男子体操伝統の「技」なのかもしれない。彼らは紛れもなくトップアスリートであり、同時に、終わりなき美を追求し続ける職人的玄人集団の空気を醸し出す。
1人で、6種目全てを団体予選、決勝、個人総合と3回通して18回、種目別鉄棒と合わせると実に19回の演技をやり抜いた内村は静かな口調で続けた。
「でも、これまでどんな状況でもミスのない練習をしてきたつもりだったが、(予選の)ゆかで待たされてミスが出て、最後の最後に(決勝の)鉄棒でもやってしまった。いつもなら、やらないところでミスが出ている。オリンピックは、いつも以上に何が起きるか、分からないと思っている。もっと色々な事態を想定して、ミスのない演技をするのが課題だと思った」
エースがこの姿勢であるから、内村に続くキャリアを持つ田中佑典(コナミスポーツ)、加藤凌平(順大)、白井まで課題のオンパレード。喉から手が出るほど欲しかった金メダルは、来年のリオ五輪でもう一度それを首にかける難しさ、手にするための危機感を知らしめるに十分な重みを選手に教えたかのようだ。
2006年、減点法による採点が廃止され、加点法による現行ルールへと大きく変更された。04年のアテネ五輪を最後に日本は団体で中国に勝てなくなった。日中の接戦は続き、昨年、中国・南寧で行われた世界選手権では猛追しながら、わずか0.1点差で敗れている。マラソンに例えるなら、ゴールまで42キロを走って胸の差といった様子だろうか。0.1点差
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