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規格外の成長を遂げた宇野昌磨の凄さ(上)

誰も予想できなかった4回転ジャンプのミラクル

青嶋ひろの フリーライター

 4回転トウループを、フリーで2度成功。しかも1度は、基礎点が1.1倍になる後半に、4回転‐2回転のコンビネーションジャンプで成功。

 ともに戦ったのは、現世界チャンピオン、ハビエル・フェルナンデス(スペイン)と元世界チャンピオンにして五輪銀メダリストのパトリック・チャン(カナダ)。このふたりともをくだし、男子の1位に。

 そして何より、大きく心地良い四肢の動きで作り上げていく、「トゥーランドット」の世界の雄大さ。巻き起こった、観客総立ちの大喝采。

 これだけのことを成し遂げたのが、今年(2015年)シニアデビューの17歳。

ジャパンオープンの男子フリーの演技後、村上大介(左)に抱え上げられて祝福を受ける宇野昌磨。右は宮原知子拡大ジャパンオープンの男子フリーの演技後、村上大介(左)に抱え上げられて祝福を受ける宇野昌磨。右は宮原知子

 10月上旬、シーズン開幕戦のジャパンオープン。宇野昌磨の国内シニアデビュー戦が、この時それほど大きく扱われなかったのが、不思議なくらいだ。

 参加選手数も少ないオープン戦で、男女同日開催だったのも一因だろう。

 同じ試合で浅田真央が劇的な復活を見せたため、テレビも新聞も「浅田復活!」のトピック一色。大メディアは彼の快挙にほとんど関心を示さず、宇野に関してこの日いちばん話題となったのは、「浅田と同じリンクで小さなころから滑ってきた後輩選手の活躍」という点。

 「真央復活」のお祭りに隠れた形の宇野昌磨のデビューは、長いスパンで考えれば、何よりも重要な話題だったはずだ。

 3年後のピョンチャン五輪、もしかしたらさらに次の五輪まで、スケート界最重要人物になるだろう選手の、お披露目の一戦。今シーズンが終わった頃、この時の宇野の扱いの小ささに、人々は驚くことになるのではないか。

 ジャパンオープンが団体戦だったことも、彼の勝利のインパクトを薄めてしまった。通常の試合と同じように種目ごとの表彰式があれば、彼は両脇にチャンとフェルナンデスを控えさせて、表彰台の真ん中に立っていたのだ。これはかなり、刺激的な絵になっただろう。

習得2年目の4回転で

 2014-15シーズン、トリプルアクセルと4回転トウループという2種類のジャンプを急速に身につけ、ジュニアカテゴリーで世界チャンピオンとなり、一気に注目を浴びてはいた。

 しかし驚くべきは、 ・・・ログインして読む
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筆者

青嶋ひろの

青嶋ひろの(あおしま・ひろの) フリーライター

静岡県浜松市生まれ。2002年よりフィギュアスケートを取材。日本のトップ選手へのインタビュー集『フィギュアスケート日本女子 ファンブック』『フィギュアスケート日本男子 ファンブック Cutting Edge』を毎年刊行。著書に、『最強男子。 高橋大輔・織田信成・小塚崇彦 バンクーバー五輪フィギュアスケート男子日本代表リポート』(朝日新聞出版)、『浅田真央物語』『羽生結弦物語』(ともに角川つばさ文庫)、『フィギュアスケート男子3 最強日本、若き獅子たちの台頭 宇野昌磨・山本草太・田中刑事・日野龍樹・本田太一」(カドカワ・ミニッツブック、電子書店で配信)など。最新刊は、『百獣繚乱―フィギュアスケート日本男子―ソチからピョンチャンへ』(2015年12月16日発売、KADOKAWA)。

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