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規格外の成長を遂げた宇野昌磨の凄さ(下)

男子シングルの流れを食い止める存在に

青嶋ひろの フリーライター

 しかし思い出すのは、彼はジュニアのころから時々、地味だが驚くような成長を見せてきたことだ。

 たとえば中学2年生の2011-12シーズン。既に2年前に表彰台に乗っている全日本ジュニアで、その年は5位。悔しいことに、フリーは転倒などの目に見えるミスなくプログラムを滑り切ったのに、5つものジャンプで回転不足を取られ、大きくスコアを押さえられてしまったのだ。

 「ジャンプは成功したのに、なぜ?」

「4回転が1本少なくても勝てる」ほどの選手になるかもしれない拡大表現力に対する評価はジュニア時代から高かった
 これはジャンプの回転不足判定が厳しくなって以来、女子選手がよく陥る苦しみだ。

 そのころの宇野は小さな身体で、国内ジュニアでは表彰台に上れるジャンプを跳んでいた。

 それが、パワー不足で回転しきれていない、と判定されてしまったのだろう。

 以前負かした選手たちがメダルを手にして喜んでいるなか、彼はぐっと涙をこらえた顔のまま、会場を去っていった。

 「シニアの全日本は、絶対に頑張りますから!」

 そこから1カ月弱、ジュニア資格のまま出場したシニアの全日本選手権。

 なんと全日本ジュニアでダメだしされたジャンプを短期間でほぼすべて修正し、回転不足判定はひとつのみ。初めての全日本選手権、中学2年生でベスト10入りを果たしたのだ。

 とても難しいジャンプを跳んだわけではない。彼が1カ月前に悔しい思いをしたことを知る人も少ない。注目株とはいえ、まだジュニアで、全日本9位の選手の確かな達成に、それほど注目をする人はいなかった。

負けず嫌い

 しかし、場合によってはひと夏かかるくらいの困難な修正をこんな短期間でやり遂げてしまったことには、こっそり舌を巻かずにはいられなかった。聞けばやはり、

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筆者

青嶋ひろの

青嶋ひろの(あおしま・ひろの) フリーライター

静岡県浜松市生まれ。2002年よりフィギュアスケートを取材。日本のトップ選手へのインタビュー集『フィギュアスケート日本女子 ファンブック』『フィギュアスケート日本男子 ファンブック Cutting Edge』を毎年刊行。著書に、『最強男子。 高橋大輔・織田信成・小塚崇彦 バンクーバー五輪フィギュアスケート男子日本代表リポート』(朝日新聞出版)、『浅田真央物語』『羽生結弦物語』(ともに角川つばさ文庫)、『フィギュアスケート男子3 最強日本、若き獅子たちの台頭 宇野昌磨・山本草太・田中刑事・日野龍樹・本田太一」(カドカワ・ミニッツブック、電子書店で配信)など。最新刊は、『百獣繚乱―フィギュアスケート日本男子―ソチからピョンチャンへ』(2015年12月16日発売、KADOKAWA)。

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