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中学受験はどうなる? 最新の女子教育事情(下)

付属校のトレンドは”浪人しない保険”を与えてくれること

杉浦由美子 ノンフィクションライター

 前半では2016年中学受験のトレンドとして、都立一貫校がようやく波に乗ってきたことと、女子進学校は非宗教系の学校が伸びてきたことについて書いた。後半では、私大付属校をみてみよう。

慶応の中学に入れる力があるならば、東大を目指したい

 2012年頃に中学受験を取材していて、「早慶以外の私立大学付属校に通う生徒たちは、外を受験したがる」という傾向を学校関係者たちから聞いた。就職においては、早慶以上とそれ以外でのフィルターが存在する。そうなると、MARCH(明治青学立教中央法政)あたりの生徒たちは将来のことを考えて、早慶や国立を受験したくなったり、医学部などの医療系に進学したくなったりするからだ。

塾関係者らに励まされながら中学受験の会場に向かう児童たち=2006年1月19日、千葉市美浜区拡大塾関係者らに励まされながら中学受験の会場に向かう児童たち=2006年1月19日、千葉市美浜区
 この話を聞いたときに、「そのうち早稲田や慶応の付属もそうなってくるのでは」と思っていたが、2016年の予想偏差値をみると、慶応中等部の女子受験生の偏差値が68となっていて、2013年度予想より2ポイント落としている。また、一方、桜蔭は2013年度予想が69だったのが今回70の大台に乗った。

 「慶応中学に合格する学力があれば、そのまま6年間勉強させれば、慶応には確実に入れる。ならば、さらに上を狙わせたい。国立の医学部や東大に入れたい」という保護者の意向がある。

 また、情報をもっている首都圏のサラリーマンたちは、就職の際に、推薦入試や内部進学、AO入試組は敬遠されることをよく知っている。付属校に入れれば、子供は勉強をしなくなるリスクが出てくる。それは避けないと思うのが、現在の保護者のトレンドだ。ちゃんと勉強させないと子供が将来駄目になると考えるのが、現在、情報をもっている親なのだ。

大妻はすでに付属校ではない「普通の進学女子校」

 ベビーブーマー世代が10代だった頃は、大学への進学が難しかったので、「付属中学に入れば、大学までエスカレーター式に進学できますよ」というが付属校の魅力だった。ところが少子化になると、大学進学はどんどん楽になってくる。

 また、AO入試のような学力をみない(あの試験は学力試験を課しても決して学力で合否を決めない)試験が普及した今、入試をせずに大学に上がれる付属校に行くメリットはなくなった。そのため、私大付属校の多くは、生き残りのために、進学校に切り替わろうとした。実は1980年代後半から各付属校は進学校化を意識していたが、そうはうまく改革は進まなかった。

 その中で、付属校から進学校への切り替えがうまくいったのが、大妻である。かつては大妻女子大学にエスカレーター式で進学できることが人気の理由だったが、現在はもはや付属校ではない。大妻中学の受験生で、 ・・・ログインして読む
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筆者

杉浦由美子

杉浦由美子(すぎうら・ゆみこ) ノンフィクションライター

1970年生まれ。日本大学農獣医学部(現・生物資源科学部)卒業後、会社員や派遣社員などを経て、メタローグ社主催の「書評道場」に投稿していた文章が編集者の目にとまり、2005年から執筆活動を開始。『AERA』『婦人公論』『VOICE』『文藝春秋』などの総合誌でルポルタージュ記事を書き、『腐女子化する世界』『女子校力』『ママの世界はいつも戦争』など単著は現在12冊。

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