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サクラセブンズが五輪切符を勝ち取れたワケ

女子ラグビーの快挙「世界で一番走ってきたのは、わたしたちです」

松瀬学 ノンフィクションライター

決勝のカザフスタン戦後半7分、相手を振り切って独走し、決勝のトライを決めた小出=2015年11月29日、東京都港区の秩父宮ラグビー場拡大決勝のカザフスタン戦後半7分、相手を振り切って独走し、決勝のトライを決めた小出=2015年11月29日、東京都港区の秩父宮ラグビー場
 よくぞ、来年のリオデジャネイロ五輪の切符を獲得したと思う。7人制ラグビー(愛称セブンズ)のアジア五輪予選。男子日本代表だけでなく、女子日本代表『サクラセブンズ』もである。なぜか。そう問えば、日本ラグビー協会でセブンズ強化を担当する本城和彦オリンピック・セブンズ部門長は「強化には特効薬的なものはない」と言った。

  そうなのだ。構図は、ラグビーワールドカップ(W杯)で3勝した15人制日本代表、7人制男子日本代表と同じである。「周到な準備」と「緻密な計画」「ハードワーク(猛練習)」なのだ。明確な目標を立て、逆算して、しっかりした強化シナリオを書き、コーチングスタッフはそれに沿ったトレーニングを提供し、地道に強化していくしかあるまい。

  では、「ひと・もの・かね」で見てみよう。まず「ひと」。サクラセブンズの選手の特徴は「多様性」にある。経歴がさまざま。主将の27歳、中村知春(アルカス熊谷)は大学時代、バスケットボールをしていた。29歳の竹内亜弥(アルカス熊谷)がバレーボール、26歳の桑井亜乃(アルカス熊谷)が陸上の円盤投げである。そういった他競技出身の選手と、ラグビーを熟知したラグビースクール、タグラグビー出身者がうまく融合している。

 小柄ながら好キッカーの21歳、大黒田裕芽(アルカス熊谷)、俊敏な22歳の鈴木陽子(アルカス熊谷)、スピードスターの26歳の山口真理恵(ラガール7)、19歳の小出深冬(アルカス熊谷)。さらには33歳の“母さん選手”、兼松由香(名古屋レディース)…。

  共通しているのは、ラグビーをリスペクトし、勤勉であるということ。はっきり言って、サクラセブンズの選手はからだの大きさやスピードなどの身体能力では中国やカザフスタンに劣っていた。では、どこで補うのか。ハードワークで磨かれるフィットネス(スタミナ)と運動量だった。

  年間200日以上にもおよぶ合宿、遠征の繰り返し。合宿では時には朝5時起床で始まり ・・・ログインして読む
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筆者

松瀬学

松瀬学(まつせ・まなぶ) ノンフィクションライター

ノンフィクションライター。1960年、長崎県生まれ。早稲田大学ではラグビー部に所属。83年、早大卒業後、共同通信社入社。運動部記者としてプロ野球、大相撲、オリンピックなどを担当。02年に退社。人物モノ、五輪モノを得意とする。著書に『汚れた金メダル』(ミズノスポーツライター賞受賞)、『早稲田ラグビー再生プロジェクト』、『武骨なカッパ 藤本隆宏』。

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