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[3]浅田真央は早熟の時代から円熟の時代へ

青嶋ひろの フリーライター

 中国杯、フリーはトリプルアクセルは成功したものの、残念ながらその他のジャンプでパンクや転倒が続き、3位。

 ジャパンオープンのフリーほどの、中国杯SPほどのジャンプの出来ではなかったが、それでも抒情に満ちた「蝶々夫人」を滑り切り、総合1位。ジャパンオープンでのジャンプと中国杯での表現ががっちり嵌(はま)った形が、きっとこのプログラムの完成形なのだろう。

エンターテイナーとしての煌めき

中国杯 金メダルを手に笑顔の浅田真央=ロイターグランプリシリーズの中国杯(11月)で金メダルを手に=ロイター
 ショートの「素敵なあなた」。フリーの「蝶々夫人」。ふたつのプログラムをしっかり演じ分けている彼女を見て思ったのは、「もっといろいろな浅田真央を見たいな!」ということ。

 ちょっと民族音楽的なものも、きっとキュートに見せてくれるだろう。

 アクの強いタンゴやフラメンコも、かつてはかわいらしく滑ってしまったけれど、今、踊ったらどうだろう? 

 尖(とが)ったアイスダンサーたちが踊るようなコンテンポラリーなナンバーにも、ぜひ挑戦してほしい……。

 あんなものもこんなものも、今の浅田ならできるだろうし、今の浅田真央で、ぜひ見てみたいものだ。

 こんな思いは、高橋大輔をはじめ、ごく限られたほんとうのエンターテイナースケーターに抱くものだったはずだ。

 浅田真央には浅田真央のカラーがあり、ソチ五輪以前の「いつもの真央」を見せてくれるだけでも、私たちは十分満足していた。彼女だけの唯一無二の存在感がすばらしい選手ではあったが、

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