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[3]浅田真央は早熟の時代から円熟の時代へ

青嶋ひろの フリーライター

 中国杯、フリーはトリプルアクセルは成功したものの、残念ながらその他のジャンプでパンクや転倒が続き、3位。

 ジャパンオープンのフリーほどの、中国杯SPほどのジャンプの出来ではなかったが、それでも抒情に満ちた「蝶々夫人」を滑り切り、総合1位。ジャパンオープンでのジャンプと中国杯での表現ががっちり嵌(はま)った形が、きっとこのプログラムの完成形なのだろう。

エンターテイナーとしての煌めき

中国杯 金メダルを手に笑顔の浅田真央=ロイター拡大グランプリシリーズの中国杯(11月)で金メダルを手に=ロイター
 ショートの「素敵なあなた」。フリーの「蝶々夫人」。ふたつのプログラムをしっかり演じ分けている彼女を見て思ったのは、「もっといろいろな浅田真央を見たいな!」ということ。

 ちょっと民族音楽的なものも、きっとキュートに見せてくれるだろう。

 アクの強いタンゴやフラメンコも、かつてはかわいらしく滑ってしまったけれど、今、踊ったらどうだろう? 

 尖(とが)ったアイスダンサーたちが踊るようなコンテンポラリーなナンバーにも、ぜひ挑戦してほしい……。

 あんなものもこんなものも、今の浅田ならできるだろうし、今の浅田真央で、ぜひ見てみたいものだ。

 こんな思いは、高橋大輔をはじめ、ごく限られたほんとうのエンターテイナースケーターに抱くものだったはずだ。

 浅田真央には浅田真央のカラーがあり、ソチ五輪以前の「いつもの真央」を見せてくれるだけでも、私たちは十分満足していた。彼女だけの唯一無二の存在感がすばらしい選手ではあったが、

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筆者

青嶋ひろの

青嶋ひろの(あおしま・ひろの) フリーライター

静岡県浜松市生まれ。2002年よりフィギュアスケートを取材。日本のトップ選手へのインタビュー集『フィギュアスケート日本女子 ファンブック』『フィギュアスケート日本男子 ファンブック Cutting Edge』を毎年刊行。著書に、『最強男子。 高橋大輔・織田信成・小塚崇彦 バンクーバー五輪フィギュアスケート男子日本代表リポート』(朝日新聞出版)、『浅田真央物語』『羽生結弦物語』(ともに角川つばさ文庫)、『フィギュアスケート男子3 最強日本、若き獅子たちの台頭 宇野昌磨・山本草太・田中刑事・日野龍樹・本田太一」(カドカワ・ミニッツブック、電子書店で配信)など。最新刊は、『百獣繚乱―フィギュアスケート日本男子―ソチからピョンチャンへ』(2015年12月16日発売、KADOKAWA)。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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