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[4]浅田真央、始まった報道陣との戦い

青嶋ひろの フリーライター

 中国杯の浅田真央は、夢のように煌(きら)びやかだった。

 そのぶんだけ、ホームに戻ってきてのグランプリシリーズNHK杯(11月)で、ショート4位、フリー2位、総合3位という結果には、少なからぬ落胆の声があがってしまったようだ。

 まず、中国杯でパーフェクトだったショートプログラムで、まさかの2ミス、4位発進。

NHK杯の女子SPの演技後、キスアンドクライで笑顔の佐藤信夫コーNHK杯のSPの演技後、キスアンドクライで佐藤信夫コーチと=2015年11月27日
 4位でもファイナル進出は確定していたとはいえ、この出来にはやはり驚く。

 中国でいとも安々と3本のジャンプを跳んでしまったから、今の彼女にとっては簡単なものなのか、と思いこんでいたかもしれない。しかし2ミスの演技を見てしまえば、「こうなるのが普通なほどの難度なのだ」と改めて思い知る。失敗して初めて、25歳の浅田のしていることの難しさがわかったのだ。

 佐藤信夫コーチも、「彼女だって神様じゃありませんから」と苦笑いする。

 うまくいくときも、失敗することもある。それが普通ではないか、と。

前向きな受け答え

 この日、ショートプログラムではまだ、「失敗したときに彼女が何を言うか、それも楽しみだ」と思えた。今季の彼女は、自身の状態や思いをしっかり語れている。その精神面の成長の真価は、うまくいかなかった時ほど現れるのではないか、と。

 それは、期待通りだった。

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