2016年01月05日
NHK杯における羽生結弦の「SEIMEI」。これは、ショートプログラムの彼に足りない、と思ったもの、これから期待したい「アートとしてのフィギュアスケート」ではなかったかもしれない。
それでもこれはまちがいなく、フィギュアスケートが見せられる「一番凄いもの」のひとつだった。
かつてある評論家が、「祝祭性」という言葉でこのスポーツを語ったことがある。
それは、2007年世界チャンピオン、ブライアン・ジュベール(フランス)の魅力を言い表したもの。
しかし持ち前の豪快なジャンプを成功した彼はノリにノって、拙くとも迫力たっぷりのステップで、愛嬌たっぷりの仕草で、これでもかと観客を盛りあげるのだ。
そこにあるのは芸術性ではなく、有無を言わさぬ「祝祭性」。祭りのただなか、人々が異様な興奮、高揚感に包まれる、その空気だというのだ。
もちろんNHK杯フリーの羽生は、単純なお祭り騒ぎをつくっただけではない。
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