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羽生結弦が見せた「祝祭性」

 NHK杯における羽生結弦の「SEIMEI」。これは、ショートプログラムの彼に足りない、と思ったもの、これから期待したい「アートとしてのフィギュアスケート」ではなかったかもしれない。

 それでもこれはまちがいなく、フィギュアスケートが見せられる「一番凄いもの」のひとつだった。

 かつてある評論家が、「祝祭性」という言葉でこのスポーツを語ったことがある。

 それは、2007年世界チャンピオン、ブライアン・ジュベール(フランス)の魅力を言い表したもの。

ブライアン・ジュベール選手拡大2007年の世界選手権で優勝したブライアン・ジュベール(フランス)
 ジュベールは、踊りが達者なわけではない。演技が巧みなわけでもない。

 しかし持ち前の豪快なジャンプを成功した彼はノリにノって、拙くとも迫力たっぷりのステップで、愛嬌たっぷりの仕草で、これでもかと観客を盛りあげるのだ。

 そこにあるのは芸術性ではなく、有無を言わさぬ「祝祭性」。祭りのただなか、人々が異様な興奮、高揚感に包まれる、その空気だというのだ。

 もちろんNHK杯フリーの羽生は、単純なお祭り騒ぎをつくっただけではない。 ・・・ログインして読む
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筆者

青嶋ひろの

青嶋ひろの(あおしま・ひろの) フリーライター

静岡県浜松市生まれ。2002年よりフィギュアスケートを取材。日本のトップ選手へのインタビュー集『フィギュアスケート日本女子 ファンブック』『フィギュアスケート日本男子 ファンブック Cutting Edge』を毎年刊行。著書に、『最強男子。 高橋大輔・織田信成・小塚崇彦 バンクーバー五輪フィギュアスケート男子日本代表リポート』(朝日新聞出版)、『浅田真央物語』『羽生結弦物語』(ともに角川つばさ文庫)、『フィギュアスケート男子3 最強日本、若き獅子たちの台頭 宇野昌磨・山本草太・田中刑事・日野龍樹・本田太一」(カドカワ・ミニッツブック、電子書店で配信)など。最新刊は、『百獣繚乱―フィギュアスケート日本男子―ソチからピョンチャンへ』(2015年12月16日発売、KADOKAWA)。

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