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国谷キャスター降板で番組コントロール狙う(下)

「出家詐欺」のやらせ疑惑が活用された形跡、後任は複数制のNHK女性アナが有力

川本裕司 朝日新聞記者

「クローズアップ現代」に出演した野田佳彦首相(当時)。手前は国谷裕子キャスター=2012年4月4日、東京・渋谷、読売新聞社代表撮影拡大「クローズアップ現代」に出演した野田佳彦首相(当時)。手前は国谷裕子キャスター=2012年4月4日、東京・渋谷、読売新聞社代表撮影
 NHKのあるプロデューサーは「国谷裕子さんあってのクローズアップ現代なのに」と、今回の降板を素直に受け止められていない。インターネット上でも国谷さん降板を惜しむ声が、圧倒的に多い。

 こうした局内外の意見とは別の論理で国谷さん降板に利用されたのが、クロ現で2014年5月に放送された「追跡“出家詐欺”」のやらせ疑惑だった。15年11月6日に意見書を公表した放送倫理・番組向上機構(BPO)の放送倫理検証委員会がフジテレビ「ほこ×たて」以来2件目という「重大な倫理違反」を認定した。

 15年3月に、出家詐欺のブローカーとされた男性が週刊誌で「記者にブローカーの演技をするよう頼まれた」と述べ、疑惑が明るみに出た。NHKは4月にまとめた調査報告書で「過剰な演出と実際の取材とかけ離れた編集に問題があった」としたものの、事実の捏造につながる「やらせ」はなかった、と結論づけた。BPOの委員会は「事実とは著しく乖離した情報を数多く伝えて正確性に欠けており、スタッフ間の対話の欠如でチェック機能が働かなかった」と厳しく指摘した。

  ただ、同じ内容の番組が、クロ現で放送される1カ月前に関西ローカルの「かんさい熱視線」で取り上げられていた。ところが、NHKの委員会名称は「『クローズアップ現代』報道に関する調査委員会」と、「かんさい熱視線」は対象としないかのように決められていた。

  全聾の作曲家ではなかったことが発覚した問題で、NHKが14年3月に発表したのは「佐村河内氏関連番組・調査報告書」だった。最初に取り上げた番組は12年11月の「情報LIVE ただイマ!」、最も反響が大きかったのは13年3月の「NHKスペシャル」だった。また、93年にNHKが唯一やらせを認めた事例であるNHKスペシャル「奥ヒマラヤ 禁断の王国・ムスタン」では「『ムスタン取材』緊急調査委員会」となっていた。こうした例にならうなら、「クローズアップ現代」ではなく「出家詐欺問題」の調査委員会になるのが妥当といえた。

 調査委員会の名称について、昨年11月18日の定例会見で板野裕爾放送総局長は「とくに意図があるわけではない」と述べたが、クロ現を標的にした狙いを感じた向きがあったのは確かだ。あるNHK関係者は「委員会の名前については上層部の指示があった、と聞いている」と話している。

  テレビ離れにより総世帯視聴率が落ち込むなか、NHKも視聴率ダウンに直面している。4月からの新年度編成では視聴率の向上が大きな狙いだ。

  その対策として考案されたのが、高齢者を中心に一定の視聴率をあげる午後7時からの「ニュース7」が終わる7時30分からの番組として、クロ現に代わり娯楽番組を並べ視聴者を逃さない作戦に出る。新年度の放送番組時刻表案によると、月曜以降

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筆者

川本裕司

川本裕司(かわもと・ひろし) 朝日新聞記者

朝日新聞記者。1959年生まれ。81年入社。学芸部、社会部などを経て、2006年から放送、通信、新聞などメディアを担当する編集委員などを歴任。著書に『変容するNHK』『テレビが映し出した平成という時代』『ニューメディア「誤算」の構造』。

 

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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