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渦中の最中に考える「ベッキーの才能」(上)

好感度タレントにはファンが存在するのかという謎

杉浦由美子 ノンフィクションライター

好感度の高いタレントのベッキー=2015年11月24日、東京都港区拡大好感度の高いタレントのベッキー=2015年11月24日、東京都港区
 ロックバンド『ゲスの極みの乙女。』の川谷絵音とタレントのベッキーの不倫スキャンダルが話題になっている。企業が次々とベッキーとのCM契約を打ち切る中、『にじいろジーン』(フジ系)ではベッキーを出演させ続けるという。制作の関西テレビ・福井澄郎社長は「出演者のプライベートと番組は切り離して考えているし、ベッキーさんの才能に期待して起用している事実に変わりはない」とコメントしている。「ベッキーさんの実力」といわずに「才能」と表現したところに、このベッキーという人の本質があるように思える。つまり、他のタレントが代替できない天賦の能力がある”天才”というわけだ。今回は、芸人のように面白いコメントをいうわけでもなく、女優ほど希有な美貌をもつわけでもないベッキーというタレントの”才能”を考えることで、不倫騒動が過剰に注目される理由を探っていきたい。

会見がヘンだった一番の理由

 ベッキーは最初の謝罪会見は専門家たちの間から「下手だ」「失敗」とされた。質疑応答がなく、一方的に釈明したことがダメだった、CMスポンサーに向けての配慮しかなされてない点が一般視聴者からは不満があったと言う分析が多かった。しかし、テレビカメラを通して、編集された会見をみている視聴者が「質疑応答がないから不満だ」とは感じないのではないか。少なくとも、私が一般視聴者としてあの会見で最も違和感をもったのは、ベッキーが「ファンのみなさまに申し訳がない」と頭を下げた点であった。と、いうのは、ベッキーのファンというのは、存在するのだろうか。積極的にベッキーが好きで、彼女が出ているからその番組をみるという視聴者そんなに多いようには思えないのだ。

 以前、スターを複数育てたキャリアのある芸能マネージャーと「好感度とコアなファンがいることは違う」という話をしたことがある。たとえば、CMやドラマに多く出演しているような女優が、主演で舞台をやった時にまったくチケットが売れないことがしばしばある。つまり、好感度が高いからテレビやCMの仕事のオファーはくるが、実は「彼女が舞台をやるなら、チケットを買って見に行こう」という積極的なファンは少ないのである。好感度というのは「視聴者から嫌われないこと」であって、実は人気者やスターの条件ではないということだ。

今まではアンチすらいなかった

  好感度タレントの真逆にいたのが、元AKB48で女優の前田敦子であろう。AKB48時代の彼女は ・・・ログインして読む
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筆者

杉浦由美子

杉浦由美子(すぎうら・ゆみこ) ノンフィクションライター

1970年生まれ。日本大学農獣医学部(現・生物資源科学部)卒業後、会社員や派遣社員などを経て、メタローグ社主催の「書評道場」に投稿していた文章が編集者の目にとまり、2005年から執筆活動を開始。『AERA』『婦人公論』『VOICE』『文藝春秋』などの総合誌でルポルタージュ記事を書き、『腐女子化する世界』『女子校力』『ママの世界はいつも戦争』など単著は現在12冊。

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