松瀬学(まつせ・まなぶ) ノンフィクションライター
ノンフィクションライター。1960年、長崎県生まれ。早稲田大学ではラグビー部に所属。83年、早大卒業後、共同通信社入社。運動部記者としてプロ野球、大相撲、オリンピックなどを担当。02年に退社。人物モノ、五輪モノを得意とする。著書に『汚れた金メダル』(ミズノスポーツライター賞受賞)、『早稲田ラグビー再生プロジェクト』、『武骨なカッパ 藤本隆宏』。
※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです
守りが重要だったトップリーグの決勝は熱戦、人気をリードした五郎丸
いい光景だった。満員2万5千人の拍手を受けて、3連覇を遂げたパナソニックのSH田中史朗が涙ぐむ。スタンドのファンに向けて、こう声を張り上げた。
「日本のラグビー界の戦いはこれで終わりじゃない。2019年まで、みなさんのあたたかい応援をお願いします。僕たちもがんばります」
日本の最高峰リーグ、トップリーグの年間王者を決める決勝トーナメントの決勝は24日、パナソニックが東芝を27-26の1点差で降し、3年連続4度目の優勝を飾った。試合メンバーにワールドカップ(W杯)イングランド大会の日本代表は5人ずつ。他国の代表経験者も加わり、日本一決定戦にふさわしい熱戦を展開した。
ともにフィジカル、フィットネスがしっかりと鍛え込まれており、セットプレー(スクラム、ラインアウト)、コンタクトプレー、パスプレーが堅実だった。とくにボールへの反応と判断がはやく、これが試合を国際レベルに引き上げた。ロスタイム。最後は東芝のトライ後の逆転ゴールが外れ、パナソニックが紙一重の勝利を手にした。
パナソニックのロビー・ディーンズ監督は「厳しい試合だったが、我々が少しだけ運を引き寄せる力を持っていたのかな」と言えば、東芝の冨岡鉄平監督は「力の差を感じた。それはピッチに立っている15人のラグビー理解力、正確性です」と潔かった。
勝敗を分けたのが運だとしても、それを引き寄せたのはパナソニック個々の判断と反応のはやさ、チームのコミュニケーション力と試合運びの巧さである。さぞ、いいコーチ陣のもと