杉浦由美子(すぎうら・ゆみこ) ノンフィクションライター
1970年生まれ。日本大学農獣医学部(現・生物資源科学部)卒業後、会社員や派遣社員などを経て、メタローグ社主催の「書評道場」に投稿していた文章が編集者の目にとまり、2005年から執筆活動を開始。『AERA』『婦人公論』『VOICE』『文藝春秋』などの総合誌でルポルタージュ記事を書き、『腐女子化する世界』『女子校力』『ママの世界はいつも戦争』など単著は現在12冊。
※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです
解散を止めたファンという「神」の存在、謝罪会見も神に向かってされたのではないか
前回の前半では、ジャニーズ事務所は芸能事務所というよりも、ジャニー喜多川という天才が主宰する”劇団”であり、タレントがアーティストにならず、アイドルでいることの重要性を書いた。今回の後半ではSMAPは誰に謝罪したのかということについて書いていきたい。
今回、ジャニーズを辞めると報道されたSMAPの4人はすでに完成されたタレントである。彼らは独立しても仕事のオファーはくるだろう。特に中居正広はバラエティー番組の名司会者として地位を確立しているので、さらに売れっ子になる可能性もある。だが、ジャニーズを辞めたら、中居はアイドルではなく、「好感度大のおじさん司会者」となってしまうのではないか。それは中居自身が望むものではないはずだ。
一部報道によると、ジャニーズ事務所の副社長が雑誌のインタビュー内で「SMAPは踊れない」という旨を発言したことに、中居は深く傷ついて、独立をする決心をしたという。彼はダンスレッスンを人一倍してきた自負があったからだ。アイドルにとって踊れることは重要であり、「踊れない」と言われるのは「アイドルとして精進してないし、能力がない」と言われたことになる。中居はアイドルとして評価されていないことにショックを受けた。つまり、中居のアイデンティティーは「アイドル」なのだ。「踊れないけれど、俺は司会者として実力あるからいいんだ」と開き直りができなかったのだから。
「アイドルとしてダメだと言われた」と立腹して、ジャニーズを辞める。しかし、そうなった時に、中居正広はアイドルとして存在できるのだろうか。
今回の騒動で、木村拓哉がメンバーと事務所の架け橋になり、他の4人の独立やSMAP解散を止めた。なぜ、木村拓哉は事務所に残ろうとしたのだろうか。木村拓哉は実力も人気も高いトップ俳優だが、
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