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リオ五輪女子マラソン代表選考の行方

3月の名古屋ウィメンズを控え最有力候補・福士の再挑戦表明に揺れる現場

増島みどり スポーツライター

大阪国際女子マラソンの折り返しを通過する先頭集団。左から2人目が福士加代子=2016年1月31日、大阪市、産経新聞代表撮影大阪国際女子マラソンの折り返しを通過する先頭集団。左から2人目が福士加代子=2016年1月31日、大阪市、産経新聞代表撮影
 スポーツの現場で起きるニュースは、移り変わりが早い。「速い」と書く方が、実感がこもるほど目まぐるしいと言ってもいい。女子マラソンの選考をめぐる「レース展開」も日々変化し、加速している。

 スピードランナーの福士加代子(ワコール)が、リオデジャネイロ五輪女子マラソンの選考会となった大阪国際女子マラソンで、2時間22分17秒で7レース目にして自身初めての優勝を果たしたのは、わずか2週間前の1月31日だった。

  これで残り2枠の代表の座に向けて大きく前進し、本人も「これでリオ決定だべ」とユーモアたっぷりに手応えを表現したはずだったが、翌々日には、日本陸上連盟(日本陸連)から「代表内定」が出なかったとの不満から、残る選考レース、名古屋ウイメンズマラソン(3月13日)に、何と中1カ月で急きょ参戦すると表明。名古屋で代表権獲得を目指す各陣営は、大阪優勝ランナーの突然の出場表明に困惑した。

 さらにその直後には、その名古屋を目指した最有力候補の一角、24歳の前田彩里(ダイハツ)がケガを理由に欠場を発表。若きエースがリオを断念する厳しい結果となった。

  昨年の名古屋で、日本女子ランナーとして8年ぶりの22分台をマークした前田の欠場で、彼女の実力をも踏まえて再挑戦を表明したであろう福士陣営も、あえて無理はせず戦略的転換を図るかもしれない。

選考基準と、福士陣営が抱く不安と不信の理由

 代表選考レースの現状と基準を整理する。

  ①15年北京世界陸上日本人最上位の入賞者は内定→伊藤舞(大塚製薬)が7位で内定

  ②昨年11月のさいたま国際(吉田香織が日本人トップで2時間28分43秒)

  ③大阪国際(福士が優勝)

  ④名古屋ウイメンズ(木崎良子=ダイハツ、田中智美=第一生命、野口みずき=シスメックスが出場予定)

  残り2枠は、国内3レースの3位以内の選手が候補となり、全レース終了した時点で代表2人が決定する。加えて昨年7月に正式決定し発表された選考基準にはこう記される。

  A  2時間22分30秒と設定された派遣設定記録突破選手は最大1人を優先的に選出

  B 残る代表は総合的な判断で選出

  つまりレースと同時に内定が出るのは世界陸上のみで、大阪で「内定が出なかった」とした福士陣営の不満は、13年6月から現ルールが検討されていた背景を前提とすれば、的が外れている。「22分30秒を突破し優勝したのだから内定します」と決めれば、名古屋で22分30秒を1人、ないしは複数が突破した場合、最高決定機関、理事会で明示した選考基準は何の意味も持たないからだ。

  一方で、体力的な無理は十分承知の上で、わざわざ名古屋参戦を口にした福士陣営の不安、不満、あえて言うなら日本陸連への不信にも理由はある。基準Bの「総合的な判断」は非常にあいまいな表現でどんな解釈も当てはまる恣意的運用が可能となる。

  昨年も、北京世界陸上をめぐる選考で、

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