メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

news letter
RSS

なぜ小保方氏への同情論が消えないのか(下)

マスコミを利用したツケを払うのは当たり前では

杉浦由美子 ノンフィクションライター

 コラムニストのマツコデラックスは、その発言が常に女性たちから共感されている。彼は情報番組『5時に夢中!』(TOKYO MX系)の2014年4月14日で、当時の小保方氏関連の報道をこう批判している。

  「佐村河内さんの時と(比べて)、やっぱり女っていうだけで、こういう風に転換するんだな男たちは」「ようは体を使ってのし上がったんだろ、ということしか書いてないのよ」「女を使いましたみたいな論調なわけよ」

理化学研究所に入る小保方晴子ユニットリーダー(当時)=2014年7月2日、神戸市中央区拡大理化学研究所に入る小保方晴子ユニットリーダー(当時)=2014年7月2日、神戸市中央区
  小保方擁護派の女性たちの意見を代弁しているといえよう。実際、アラサー女子をターゲットにしているネットニュースサイトでは、小保方氏の”女性性”をクローズアップしたマスコミ報道を検証して批判した論調の記事は、反響が特別に大きかったという。

  確かに、小保方氏の研究不正が発覚した時に、週刊誌やスポーツ紙、夕刊紙の編集部では、「あの女が共著者のおっさんたちとデキてたら面白いな」とデスクたちが盛り上がり、記者たちはそれに沿ったデータを探していた。これは至極当たり前のことだ。週刊誌や夕刊紙、スポーツ紙といった媒体は、読者のニーズに合わせて記事を作っていく。面白いことを取り上げるのが仕事なのだ。

マスコミは面白いものを取り上げる

  この「マスコミは面白いものを取り上げる」という性質を、小保方氏は利用し続けている。最初のSTAP細胞発見お披露目会見では、彼女はヴィヴィアンウエストウッドのワンピースに、巻き髪で会見に登場し注目を浴びた。また、理研での取材においては、カメラの前で、おばあちゃんの割烹着を着て顕微鏡の前でポーズをとった。『捏造の科学者』(文藝春秋・須田桃子著)によると、小保方氏自らが割烹着を取り出し、それを身につけたとある。

  どう振る舞ったら、マスコミの注目を浴びられるか、直感的に判断して、自分を世間にアピールしてきたのが小保方晴子という人物だ。まず、最初に彼女が積極的にマスコミを利用したのだから、立場が劣勢になった時に、必要以上に週刊誌記者やテレビカメラに追いかけられるのは当たり前だと感じるのは私だけだろうか。

  もし、彼女が真っ当な社会人として振る舞っていたら……。たとえば、会見では常にダークカラーのテイラードのスーツを着て、髪も後ろで束ねて”ごく普通の装い”をしていれば、不正発覚後、あそこまでは追われなかったはずだ。なぜなら、地味な女性研究者が不正をしても、エロくもなければ、面白くもなんともないからだ。

 都合がいい時だけマスコミを利用し、その代償は払いたくないというのはずいぶんと調子がいいように思えるのだが。

秘密主義が不正を引き起こした

 先にも書いたが、マスコミによる小保方氏の扱いがひどいという批判の主な趣旨は、「女性性」をクローズアップしすぎだというものだ。「巨乳」「乱倫」と性にまつわる部分を書かれるのは、女性だからであり、これは女性差別だと。だが、果たしてそうなのだろうか。

 小保方氏

・・・ログインして読む
(残り:約1266文字/本文:約2559文字)

全ジャンルパックなら本の記事が読み放題。


筆者

杉浦由美子

杉浦由美子(すぎうら・ゆみこ) ノンフィクションライター

1970年生まれ。日本大学農獣医学部(現・生物資源科学部)卒業後、会社員や派遣社員などを経て、メタローグ社主催の「書評道場」に投稿していた文章が編集者の目にとまり、2005年から執筆活動を開始。『AERA』『婦人公論』『VOICE』『文藝春秋』などの総合誌でルポルタージュ記事を書き、『腐女子化する世界』『女子校力』『ママの世界はいつも戦争』など単著は現在12冊。

杉浦由美子の記事

もっと見る