松瀬学(まつせ・まなぶ) ノンフィクションライター
ノンフィクションライター。1960年、長崎県生まれ。早稲田大学ではラグビー部に所属。83年、早大卒業後、共同通信社入社。運動部記者としてプロ野球、大相撲、オリンピックなどを担当。02年に退社。人物モノ、五輪モノを得意とする。著書に『汚れた金メダル』(ミズノスポーツライター賞受賞)、『早稲田ラグビー再生プロジェクト』、『武骨なカッパ 藤本隆宏』。
※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです
2019年W杯日本大会への試練、トライを取り切る厳しさがまだ足りない
これも2019年ワールドカップ(W杯)日本大会への“陣痛”か。世界最高峰リーグ「スーパーラグビー」に日本から初参戦したサンウルブズは開幕3連敗となり、「世界」の壁の厚さを思い知らされている。よく戦ってはいる。でも勝てない。
19日。サンウルブズは東京・秩父宮ラグビー場でレベルズ(豪州)にノートライに抑えられ、9-35で敗れた。3試合トータルで、得たトライが5本、失ったトライは12本。トライを取り切る厳しさがまだ、足りない。
サンウルブズのマーク・ハメットヘッドコーチ(HC)は言った。
「私たちが周りからアンダードッグ(負け犬)と思われていることは理解しています。でも、負けることで、選手たちがポジティブでなくなることはない。私が唯一、ポジティブでなくなるのは、試合に対する選手たちの意欲がなくなった時です」
同感である。選手たちの覇気は衰えない。主将のフッカー堀江翔太(パナソニック)やロック大野均(東芝)、WTB山田章仁(パナソニック)ら昨年のW杯イングランド大会で活躍した日本代表が10人。2019年W杯日本大会を狙う若手はもちろん、サモア代表のSOトゥシ・ピシ(サントリー)ら外国人勢も、高いレベルでチームにコミットしている。
苦戦は予想されていたことである。激しい「フィジカルゲーム」にあって、FWは低い姿勢でからだを張っているのだが、やはり接点では差し込まれている。ふたり目のサポートが遅れると、時に球出しのリズムを遅らされ、時にボールを奪われてしまう。大野は「我慢が足りない」と反省した。
「向こうが一瞬のスキを見つけるのがうまかったですね。トライを獲りにくる“嗅覚”というのも向こうがあったのかなと思います」
サンウルブズは攻撃のリズムも連携も悪くはなかった。ただ