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フェルナンデスはなぜ羽生結弦に勝ったのか?

世界選手権に合わせたピーキングの見事さ

青嶋ひろの フリーライター

 2016年世界選手権、男子シングル。

コーチらと記念撮影におさまる羽生結弦(最前列右)とハビエル・フェルナンデスコーチたちと記念撮影におさまる羽生結弦とハビエル・フェルナンデス(前列左)
 とにかくハビエル・フェルナンデス(スペイン)ただひとりに、すべてを持っていかれた試合だった。

 ショートプログラムの上位選手――羽生結弦、パトリック・チャン(カナダ)、宇野昌磨――がジャンプミスで次々に崩れていく中、ただひとり、4回転3本を含めた演技構成を完璧に決めて見せる。

 もうそれだけで、今年の世界チャンピオンとしての資格十分だ。

 しかし、ボストンTDガーデンを埋め尽くした人々が総立ちで讃え、「2016年のハビエルは凄かったね!」と、ずっと後まで語り草になるだろう演技。

 それを見せてのチャンピオン、いや、ただのチャンピオンではない、あまりにもインプレッシブなチャンピオンに、彼はなってしまった。

軽すぎるプログラムに思えたが……

 大観衆を沸かせたフェルナンデスのフリーは、「ガイズ&ドールズ」。軽快なブロードウェイミュージカルのナンバーはさまざまな歌手に歌われているが、振付師のデイビッド・ウィルソンが選択したのは、フランク・シナトラバージョン。もちろん、開催国・アメリカでの客受けを考えてのことだ。

 しかしシーズン当初、トップ争いをする選手のプログラムにしては、いささかラフで、軽すぎるようにも思えた。

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