京都市では初の行政代執行で強制撤去、財産権からの批判や根本解決かという疑問も
2016年05月14日
昨年11月13日には、京都市の「ごみ屋敷」対策条例(14年11月11日施行)に基づき、全国初となる、行政代執行による強制撤去がなされた。右京区の民家で50代男性が物をため込んでおり、近隣住民の通行に支障が出ており、災害時の住民避難に影響が出るとして、市内の私道など屋外に置かれた物を強制撤去した。09年12月に近隣住民からの相談で市が問題を把握し、男性に撤去を要請、14年11月の対策条例施行後は文書指導や命令も行ったとされ、市は男性宅を124回訪問し、撤去を求めるほかに健康相談も行ってきたとしている。
これを見ると、丁寧な対応のように見えるが、最初の条例案では他の自治体より厳しく、調査時の質問拒否に対する氏名公表や過料の規定など懲罰的傾向が強く、財産権の観点からやり過ぎだとする弁護士の批判も出ていた。氏名公表はネット社会の中、ラべリングによって地域社会から孤立させるだけであり、またごみ屋敷住人は繰り返しごみをためるので、支援でなければ根本的な解決にならないと、支援の現場にいる精神科医らも反対した。彼らは「京都市ごみ屋敷問題を考える会」を立ち上げて、条例案の改正を求め、今のように支援の柱も入れられたのである。もとの条例案では、他の自治体にはあった、改善命令前の審議会など第三者によるチェック機関も存在しなかった(京都新聞2014/10/17)。
京都市のケースは、行政案が
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