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宇野昌磨、4回転フリップ世界初成功の衝撃(下)

来シーズン、新たな「世界初」へ。羽生結弦とのバトルが起こる

青嶋ひろの フリーライター

ジュニア時代を思えば信じがたい快挙

 「まさか昌磨が!」。この驚きは、彼のここまでの道のりを知る人ほど大きいだろう。

宇野昌磨拡大来シーズンはまた一段と進化した宇野昌磨が見られるはずだ
 今シーズン、シニア1年目でのグランプリシリーズ連続表彰台、ファイナル3位、という華々しい実績だけ見れば、不思議はない。

 だが、ここに至るまでの宇野昌磨、特にトリプルアクセルで何年も足踏みをしたジュニア時代の彼を思えば、この快挙はほんとうに信じがたいことなのだ。

 羽生結弦や山本草太が中学生で跳べるようになったトリプルアクセルを、宇野が手に入れたのは高校2年の秋。ほんの1シーズン前、やっとトリプルアクセラーになったばかりの選手が、もう4回転の歴史に名を刻むジャンパーになるなどと、誰が予想しただろうか。

 「10年後、ですか? まわりの選手は、みんな4回転を3種類くらい入れてそうな気がします。僕はまあ、1種類くらいで(笑)」

 これは今から4年前、宇野昌磨が14歳の夏に聞いた「10年後のフィギュアスケートはどうなっていると思う?」という質問の答えだ。

 初めて世界ジュニア選手権に出場し、10位という好成績は挙げたものの、「一番跳びたいジャンプ」であるトリプルアクセルに大苦戦していたころ。中学3年生の彼は、まだまったくアクセルが跳べる気配はなく、「10年後に4回転1種類」だって、夢のまた夢のような目標だった。そんな彼に、

 「4年後の君は、4回転を4種類練習していて、そのうち2種類は、もう試合で成功しているよ。しかもフリップは、史上初めての成功者になるんだよ」

 などと囁いたら、どんな顔をしただろうか。彼をよく知るコーチだって、家族だって、きっと大笑いしたに違いない。それほどに、予測を大きく超えた未来に彼はいる。

 ジャンプに一番苦しんだシーズンには、一日にトリプルアクセル100回、という荒行のような練習を、泣きじゃくりながらしていた彼。がんばり屋だけれど、ジャンプは跳べないスケーターだった彼。天性のジャンパーではない、努力の人である宇野昌磨を知っているからこそ、今回の4回転フリップ成功は、とてつもない驚きだ。

ほかにもあった「初挑戦と成功」

 4回転フリップ成功で大いに沸いたチームチャレンジカップだったが、実は宇野昌磨はそれ以外にいくつも「自身初」の挑戦と成功を見せている。 ・・・ログインして読む
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筆者

青嶋ひろの

青嶋ひろの(あおしま・ひろの) フリーライター

静岡県浜松市生まれ。2002年よりフィギュアスケートを取材。日本のトップ選手へのインタビュー集『フィギュアスケート日本女子 ファンブック』『フィギュアスケート日本男子 ファンブック Cutting Edge』を毎年刊行。著書に、『最強男子。 高橋大輔・織田信成・小塚崇彦 バンクーバー五輪フィギュアスケート男子日本代表リポート』(朝日新聞出版)、『浅田真央物語』『羽生結弦物語』(ともに角川つばさ文庫)、『フィギュアスケート男子3 最強日本、若き獅子たちの台頭 宇野昌磨・山本草太・田中刑事・日野龍樹・本田太一」(カドカワ・ミニッツブック、電子書店で配信)など。最新刊は、『百獣繚乱―フィギュアスケート日本男子―ソチからピョンチャンへ』(2015年12月16日発売、KADOKAWA)。

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